【資料写真】琵琶湖

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琵琶湖の全窒素の経年変化

琵琶湖の全窒素の経年変化

 滋賀県はこのほど、2019年度の水質調査の結果、琵琶湖北湖の全窒素の濃度が1979年の調査以来、初めて国の環境基準を達成したと発表した。長年の環境運動や下水処理の高度化による水質向上の現れとみられるが、県は、水草の繁茂や魚介類の減少など琵琶湖の環境保全に関する課題は多いとして「水質だけではなく、生態系を含めた琵琶湖の健全性について考えていきたい」としている。


 琵琶湖では、77年に初めて植物プランクトンの大量発生に伴う大規模な淡水赤潮が発生した。危機感を抱いた市民が、赤潮の原因となるリンや窒素を含まない粉せっけんを推進する「せっけん運動」を展開。県は79年、リンを含む家庭用合成洗剤の販売禁止や工場排水を規制する「県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(琵琶湖条例)を定め、水質調査を続けている。

 北湖の全窒素濃度に関する調査は今津沖、安曇川沖、南比良沖の3カ所で実施。表層50センチの湖水を毎月測定し、各地点の年間平均値で最も高い値で判定する。19年度の全窒素濃度は1リットルあたり0・20ミリグラムで、国が定めた環境基準値0・20ミリグラム(82年制定、琵琶湖への適用は85年)に初めて達した。

 北湖の全窒素濃度は、03年の0・34ミリグラムをピークに減少に転じた。南湖でも減少傾向が続いており、19年度は過去最低の0・22ミリグラムだった。県琵琶湖保全再生課は、下水処理の高度化や合併浄化槽の普及、琵琶湖条例に基づく農地での化学肥料の抑制など、長年の効果の成果とみている。

 一方で、現場の漁業者からは窒素などを餌とする植物プランクトンが水面に浮くアオコが湖岸部で確認されているとして「数値と実際の水質に乖離(かいり)があるのでは」との指摘もある。

 同課は「国の環境基準が制定された当時には想定されなかった気候条件や環境の変化に直面している。今回の達成をゴールとせず、新たな考え方で琵琶湖の保全再生施策を進めていく必要がある」としている。