来春から新しくなる中学校の教科書の見本を京都市内の展示会で手に取った。イラストや写真の豊富さに感心したが、大きくて重いことに驚いた▼教科書協会によると、ゆとり教育からの転換などもあり、この15年ほどで教科書のページ数は小学校で5割増加。中学校も3割増え、来春からの教科書は2004年度検定以降で最多になる▼毎日かばんに入れて登下校するのは大変だ。昔の軽い教科書と比べて気の毒に思っていたら「『置き勉』をする子はたくさんいる」と知り合いの先生▼置き勉とは教科書などを自宅に持ち帰らず、学校に置いておくことだという。文部科学省も児童生徒の負担軽減を求めた18年の通知で一例として挙げている。新型コロナウイルス禍に伴う臨時休校や再開で重い教科書を運ぶのは一苦労だっただろう▼しかし、もっと大変なのは学習の遅れだ。オンライン環境や家庭の状況によって差が出ると指摘されている。受験はどうなるのか、第2波が来た時は…。安心して勉強ができる環境を早くつくらないといけない▼一時持ち上がった「9月入学制」は、子どもたちには学習の遅れを何とかしたいとの切実な思いからだった。子どもには教育を受ける権利がある。国や自治体は対応策について、「置き勉」をしている場合ではない。