大雨被害が相次ぐなかで注目すべき判決だ。

 2013年の台風18号で自宅が浸水した福知山市の住民が、水害の危険性を説明せず宅地を販売したとして市に損害賠償を求めた裁判。先週、京都地裁は市に一部支払いを命じ、さらに市には水害リスクを説明する義務があると認めた。

 住民側弁護団によると、こうした判決は全国初という。水害訴訟では住民敗訴が続くだけに、画期的な判断だ。

 このところ気候変動の激化で記録的な豪雨に見舞われ、各地で河川の氾濫などが頻発している。自治体は被害を最小にするために、地域の災害リスクを住民に周知しておくことが求められている。

 福知山市は危険性を示すハザードマップを配布してきたと主張しており、控訴する方針だ。

 しかし、配布しただけで十分とは言えまい。実際に使われたかが問題であり、家の中でしまい込まれたままになっていないか。

 自治体は周知した「つもり」ではなく、住民に確実にリスクを伝える必要がある。そのための工夫や仕組みを考えてほしい。宅地を販売する際も同様のはずだ。

 宅建業法の規則改正で、来月にも不動産業者に対し水害リスクをもとにした重要事項の説明が義務化される見通しだ。

 ただ、自治体や業者のリスク説明が、ハザードマップ上の危険性だけなら疑問だ。

 ここ数年、目立つのは中小河川で逆流やせき止めなどが起き、浸水被害をもたらしていることだ。大被害を想定したハザードマップになくても、過去の浸水履歴や新しい被害想定などを積極的に住民に伝えることが求められよう。

 ハザードマップを作成した市区町村も3割程度にとどまっており、リスクの説明が限定的になりかねない。

 山梨大の調査によると、浸水想定区域内の人口は増え続け、15年時点で全人口の28%を占める。浸水リスクの高い地域の宅地化が進んでいるためと分析している。洪水を調整する遊水池の跡地などを造成した土地に、他所から移り住んだ住民も少なくないだろう。

 長期的には危険性の高い土地利用の制限などで、安全な街づくりを進めないといけない。同時に、災害への備えや対策は待ったなしだ。周囲の自然環境や造成状況など、自分が暮らす土地について知っておきたい。そのためにも自治体や業者から正確な情報を得ることが必要になる。