自治体運営の指針を、中央省庁が主導して決める-。そんな手法の限界を示したのではないか。

 首相の諮問機関・地方制度調査会が、高齢者人口がピークとなる2040年ごろを見据えた地方制度に関する答申をまとめた。

 現行制度の拡充など小幅な提言にとどまり、人口減少が本格化する時代に向けて新たな方向性を示すには至らなかった。

 答申のたたき台となった総務省研究会の報告書では、複数市町村でつくる「圏域」を新しい行政主体として制度化することや、地方議員のなり手不足解消策として兼業・兼職制限を緩和する仕組みを設けるなどの案を示していた。

 しかし、地方側が強く反発し、いずれも答申への盛り込みは見送られた。地方に関する制度改正が国主導で進められることへの警戒感が強いことを物語っている。

 全国一律の制度を国が決め、それを地方に押しつけるやり方からは脱却すべきだ。自治体が主体的に自己改革できるよう権限や財源を移譲し、取り組みを支援する姿勢が国に求められている。

 「圏域」は、市町村が全分野の行政を担うのでなく、圏域単位で分担して住民サービスを行う構想だった。効率的な行政運営が期待される半面、自治体独自の取り組みがしにくくなる可能性がある。

 地方側には、国主導で展開された「平成の大合併」の苦い記憶がある。中心となった自治体に行政機能が集約され、周辺部の町村が衰退したとの批判が少なくない。いったん圏域に加えられれば、合併と同じデメリットが生じかねないとの心配は理解できる。

 地方議員のなり手不足解消策も地方側の理解を得られなかった。

 人数を絞って待遇を厚くしたり、議員の仕事を減らして本業が別にある住民を広く募るなどの仕組みを示したが、「実情をふまえていない」「議会の行政監視機能が低下する」などの批判を招いた。

 答申は、効率性に優れた行政体制をどうつくるかという視点が色濃く、自治や議会の役割をイメージしきれていないように思える。

 人口減少で、住民サービスやインフラの維持は大きな課題だ。

 一方、コロナ禍では大都市が持つリスクが指摘され、地方の存在感がクローズアップされている。

 こうした時代の流れを読みながら、新たな地域の姿を描くことが欠かせない。国、地方は協力し、住民が地域の将来に何を求めているかを把握し、地に足の着いた議論につなげていかねばならない。