本の世界観を表した服をセットで売るなど、新たな書店の在り方を提案する宇野さん(東近江市八日市本町・六月の水曜日)

本の世界観を表した服をセットで売るなど、新たな書店の在り方を提案する宇野さん(東近江市八日市本町・六月の水曜日)

 滋賀県東近江市内に開店したユニークな古書店が、本好きに注目されている。書架に並ぶ本に値札はなく、利用客が値段を決める。時には客が書店員の体験もできる。店主は「うちは本を“売らない”本屋です」と語り、書店の新しい在り方を提案している。

 同市八日市本町の商業施設「HONMACHI93」内に5月9日オープンした古書店「六月の水曜日」。瀟洒(しょうしゃ)なヴォーリズ建築の洋館2階、約13平方メートルのスペースに売れ筋の村上春樹作品からサブカルチャー系まで約500冊が並ぶ。
 本に値段は記されていない。店主の宇野爵(つかさ)さん(39)によると、利用客は自ら値段を決めて購入できる。当然、0円でもいい。
 本だけに頼らないビジネスを考えている。「コーヒーも一緒に販売したり、本の世界観に合った洋服もセットで売ったりしている」。普段は書店関係の仕事をする宇野さんにとって古書店は副業。「とんとんでやれれば」と言うものの、「本気の副業」だという。
 「今の書店のやり方では、いずれ街の本屋はなくなってしまう」。大規模書店などの画一的な品揃えが、本離れを加速させていると危機感を持つ。「書店文化の衰退にあらがうには本を読む人だけでなく、工夫して売る人も増やしていかないといけない」
 他にも、本屋を体験する講座も企画する。取次店など流通の仕組みも学べるほか、自ら選んだ本を棚に並べ、一日接客もできる。無料通信アプリLINE(ライン)で本を紹介し、読書会も開く。宇野さんは「店で黙って本を読んでくれてもいいし、紹介し合ってもいい。店を通じて本好きが交流してほしい」と話す。
 営業は金曜午後9時~午前0時、土日午後0~7時。本屋体験は千円から。問い合わせは宇野さん090(9053)0611。