フランスの自動車大手ルノーが取締役会で、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が申し出ていたルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)の辞任を了承した。事実上の解任とみられる。

 ルノーと3社連合を組む日産と三菱自動車は、同被告の逮捕直後の昨年11月に会長職を解いた。これまでルノーは態度を保留していたが、これで足並みがそろったことになる。

 同被告の勾留が長期化し、これ以上のトップ不在は好ましくないと判断したのだろう。擁護しているルノーに対しても、世論の厳しさが増している。

 辞任の了承は経営上、当然の動きではある。

 後任の会長には、タイヤ大手ミシュランCEOのジャンドミニク・スナール氏が就いた。「平穏を取り戻すことが重要だ」と、混乱を鎮めたい考えを示す。

 逮捕後、3社の関係はぎくしゃくしていた。意思の疎通を図り、業績や雇用に悪影響が出ないよう努めてほしい。

 同氏の就任を日産側も歓迎している。4月には臨時株主総会を開き、取締役に選任する意向だ。

 「ゴーン後」の新体制が、ようやく整えられそうだ。

 だが、ルノーと日産の思惑は随分、異なる。

 ルノーが日産を経営統合したいのに対し、日産はルノーが優位に立つ資本関係を見直して、対等な提携に移行することを望んでいるとされる。まったく、逆の方向を目指しているといってよい。

 背景には、かつて経営危機に陥り、ルノーの支援を受けた日産が、現在では収益面でルノーに大きな貢献をしていることがある。経営の主導権を巡って、あつれきが生じやすくなっている。

 問題を複雑にしているのは、フランス政府がルノーに15%出資する大株主という点だ。

 先日、フランス政府の代表として訪日したルノーの役員は、日本政府に経営統合を働き掛けた。

 日本政府は、民間の経営に踏み込まないとしているが、基幹産業である自動車の主要会社で他国の支配が強まる事態は受け入れがたい。どう折り合いをつけるのか。

 電気自動車の普及や自動運転の導入などで、自動車業界は世界的に大きな変革期を迎えた。業界再編をにらみ、機敏で柔軟な対応が求められている。

 政府の過度な介入によって経営が硬直化する事態は、何としても避けるべきだ。