驚いた。ポイントカードの「Tカード」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に「私の情報を警察に渡したか」と聞くと、「捜査に関係することはお答えできない」というのである▼同社は会員情報を裁判所の令状なしに捜査当局に提供していた。先日、報道で明らかになるまで会員規約にも記していなかった▼捜査当局はポイントカード情報の入手に「捜査関係事項照会」という手法を使う。コンビニなどの監視カメラの映像も同様だ。令状に基づく捜査ではなく、応じるかどうかは任意だが、拒否する例は皆無といわれる▼その背景には、当局の強気な態度もあるようだ。警察庁は全国の警察へ「照会は拒否できない」旨の通達を1999年に出している。自信を持ってやれ、というわけだが、その根拠は示していない▼この曖昧な状態を元北海道警幹部の原田宏二さん(81)は「グレーゾーン捜査の肥大化」と呼ぶ。「本来なら令状主義を徹底するか、新たな法制度が必要なのに、当局は動こうとしない。グレーの方が都合がいいからだ」▼CCCは照会への協力を「社会貢献」と説明するが、誰もそんな貢献を頼んでいない。自分の知らないところで、自分の情報がやり取りされる。そんな薄気味悪い社会には貢献したくないのだが。