初のロシア公演に向けて稽古に励む冨田人形共遊団の団員ら(滋賀県長浜市富田町・冨田人形会館)

初のロシア公演に向けて稽古に励む冨田人形共遊団の団員ら(滋賀県長浜市富田町・冨田人形会館)

 滋賀県長浜市富田町に伝わる県選択無形民俗文化財の人形浄瑠璃「冨田人形」が3月にロシアで初めて公演する。同町で冨田人形を学んだ経験があるロシア人女性2人の橋渡しで実現した。地元の保存団体「冨田人形共遊団」のメンバーは公演に向け稽古に励んでいる。

 冨田人形は江戸時代に始まったとされ、同団では海外の若者に人形の魅力を知ってもらおうと、1997年から夏場の約2カ月間、大学生らを招いた体験留学プログラムを実施している。これまでロシアのほか、米国、中国など15カ国から約280人が受講した。

 2人は、2015年に受講した着物着付け教室主宰オリガ・シチュゴワさん(26)と、17年に受けたパソコン修繕技術者ビクトリア・リトビネンコさん(28)。

 リトビネンコさんは「複数の人が人形を本物の人のように操る伝統の技に魅了された」といい、帰国後、サンクトペテルブルクにある日本総領事館にロシア公演を働きかけた。

 サンクトペテルブルク在住のシチュゴワさんも現地での調整を担い、外務省の交流事業に認定されて3月15日に同市の国立アカデミーコミサルジェフスカヤドラマ劇場での公演が実現した。

 冨田人形の海外公演は、今回を含めて16回目。共遊団からは、人形遣い10人と太夫1人、三味線1人の計12人が参加し、人情物の「傾城(けいせい)阿波の鳴門」など3演目を上演する。阿部秀彦団長(78)は「彼女たちの行動力、熱意に応えられるよう、稽古に励む」と意気込んでいる。