西日本豪雨で異常洪水時防災操作を実施した日吉ダム。事前放流で水害リスクの低減が期待される(2018年7月6日、京都府南丹市日吉町)

西日本豪雨で異常洪水時防災操作を実施した日吉ダム。事前放流で水害リスクの低減が期待される(2018年7月6日、京都府南丹市日吉町)

 ダムの「事前放流」について京都大防災研究所の角哲也教授(水工水理学)はこう解説する。

 「事前放流は効果的だが、ダムの流域にどれほど雨が降るのかという予測の難しさがある。前日ならばそれなりに正確な場所と雨量は分かるが、放流して水位を下げる十分な時間の余裕はなく、3~5日前には把握したい。雨があまり降らず、放流が無駄になるケースもありうる。被害防止のために空振りは仕方ないとの考え方もあるが、水は貴重な資源で、飲み水の枯渇や経済的損失が生じる恐れがある」

 「これらの問題は、多数の数値予測を行って信頼度を高める『アンサンブル降雨予報』の研究が進めば対応できる。岡山県や千葉県など一部のダムで試験的に導入が始まっており、成果を期待したい」

 「また、発電などの利水ダムは放流方法が治水向けではないため、貯水容量の増加だけを見て効果が上がるという簡単な話ではない。利水ダムを有効活用するためには、安全への『投資』としてダムの改修も考える必要がある」

 「事前放流をしたからと安心するのではなく、ネット情報などを通してダムの水位に関心を持ってほしい。容量がいっぱいになると緊急放流が起こる。大雨がやんだ後でも緊急放流が行われることもあり、ダムの水位や増減を確認しておけば危険性が分かる」