薬物依存などで全国の精神科で治療を受けた10代の患者の4割以上が、風邪薬やせき止めなどの市販薬を乱用していた。

 厚生労働省研究班の調査結果である。2014年の調査では1人もいなかったから、急増をうかがわせる。

 市販の風邪薬などの一部には、神経を興奮させる成分と安定させる両方の成分が含まれる。長期間、大量に服用すると依存しやすい。

 会員制交流サイト(SNS)などで「多幸感が得られる」などと紹介されているのが、乱用が増える背景とみられている。

 依存がこれ以上広がらないよう、早急な対策が必要だ。

 全国の入院設備のある精神科で薬物関連の治療を受けた患者のうち、同意が得られた2609人を分析した。

 このうち10代は34人で、41%が市販薬の乱用だった。大麻は21%、覚醒剤は15%、取り締まりが強化された「危険ドラッグ」はゼロだった。

 14年の調査では危険ドラッグが48%を占めたが、市販薬はゼロだった。

 今回、市販薬では「リン酸ジヒドロコデイン」と「塩酸メチルエフェドリン」という成分を含むせき止め薬ブロンの乱用が大半を占めた。

 1980年代後半にブロンの乱用が社会問題化した際は、液体タイプから両成分が除かれたが、錠剤タイプには今も含まれている。

 風邪薬にも両成分が含まれるものがある。こうした市販薬はシンナーや覚醒剤などにみられる幻覚や妄想は少ないが依存性が高い。

 問題は、国の乱用防止策が事実上、骨抜きになっていることだ。

 乱用の恐れのあるせき止めなどの市販薬は1度に1瓶しか購入できず、2瓶買う人には薬局が購入目的を聞くよう義務づけられている。しかし、国の調査では何も聞かずに2瓶以上販売する店が少なくない。

 研究班は、2014年のネット販売解禁も乱用増に拍車をかけたとしている。規制強化が必要ではないか。

 研究班によると、さまざまな悩みを周囲に打ち明けられない若者が、不安を紛らわせ、一時的に気分を上向かせるために、手近な市販薬を使ってしまうという。

 薬物の使用をやめさせるだけでは、根本的な解決にはなるまい。

 薬物に依存してしまう原因や課題の解決につながるような支援が必要だろう。