宇治市の茶業センター茶園での新茶摘み

宇治市の茶業センター茶園での新茶摘み

 中国で「宇治」の地名が、中国企業に商標登録される恐れがあることが30日分かった。これまでは京都府内の茶業者が登録していたが、商標の使用実績がないとして取り消しの瀬戸際にあり、代わって中国企業が登録を出願している。宇治市や府茶協同組合は茶業を中心に大きな影響を見込み、対応を急ぐ。

 宇治市議会9月定例会の一般質問で市議が明らかにした。市や同組合などによると、「宇治」は2013年に茶製造販売の老舗「福寿園」(木津川市)が、茶を含む商品の登録商標として取得した。府内の茶業者らに対しては商標を独占していなかったという。

 だが、放射性物質の安全性を証明する書式が両国間で決まっていないことなどから、宇治茶の輸出は難航。今年8月、3年以上商標の使用実績がないとして中国企業による不使用取り消し請求が認められた。

 一方、中国企業は「宇治」の登録を既に申請しており、福寿園も再申請していたが、1日遅かった。中国は先願主義のため、商標を取得される恐れがある。

 同国では、「宇治」と業者名を組み合わせた商標が勝手に登録され、商品が出回っている事例が既にあり、茶業界は被害拡大を懸念する。市も「中国で宇治茶を販売できなくなったり、日本製とは別の商品が、中国から他国へ輸出されたりし、ブランドイメージが損なわれかねない」と危機感をあらわにする。

 福寿園は中国当局に取り消しに対する不服を申し立てており、同組合も全面的に支援する。また、「宇治」の知名度の高さを証明すれば登録商標の対象外にできるとし、同組合は宇治市などと連携して手続きの準備を進める。

 山本正市長は「茶業だけでなく、観光、商工業などの分野に影響が及ぶ可能性もある。府とも連携を図り、私が(中国へ折衝に)行くことも考えたい。国に対しても国家間の問題として取り組んでもらえるよう要望したい」と述べた。