コードネームは「ジンジャー」。開発中の秘密を目撃したアップルの故スティーブ・ジョブズ氏が「都市設計のあり方を変える」と絶賛したことから期待は高まっていた▼2001年の暮れ、注目の中でデビューした立ち乗り電動二輪車「セグウェイ」である。「夢の発明」と騒がれたのも今は昔、販売不振で来月生産を終了する。夢の果て、という言葉が浮かび寂しい気がする▼開発した米国の天才発明家ディーン・カーメン氏がセグウェイをこう説明している。「これは人間と同じように機能するんです」。内耳はジャイロ、筋肉はモーター、足はタイヤ。体を傾けるだけで前後左右に動き走り回る▼きっかけは車いすの改良だという。縁石を乗り越えられず困っている人を見てから、なぜ階段を克服できない、同じ目線の高さで会話できないのかと考えたという▼開発のさなかに「こいつは世界を変えてしまうんだ」と語っている。都市や輸送が一変し、なによりも乗るのが楽しい、と(スティーブ・ケンパー「世界を変えるマシンをつくれ!」)▼「必要は発明の母」というが、「発明は必要の母」との言葉も見かける。パソコンのように、発明が新たな必要を生み社会を変えるというのだ。セグウェイは果たせなかったが、未来社会の夢を見せてくれた。