【資料写真】京都地裁

【資料写真】京都地裁

 業務で使用するタブレット端末の使用料や営業先に配布するカレンダーの代金を給料から天引きするのは労働基準法に違反するとして、住友生命保険京都支社(京都市下京区)の保険外交員の50代女性が1日、同社に対して、2012年10月から昨年末までに天引きされた約210万円の支払いを求める訴えを京都地裁に起こした。代理人弁護士によると、会社による経費控除の適法性を問う訴訟は全国でも珍しいという。

 訴状によると、同社は顧客に保険商品を紹介するタブレット端末の使用料(月額2950円。18年8月からは会社負担)や広報誌代、営業先で配布する社名入りのあめ、年末に配布するカレンダーの代金については、「会社斡旋(あっせん)物品代」などの名目で保険外交員の給料から控除している。また業務に使用する携帯電話の通話代も保険外交員の負担となっている。

 会社側はタブレット端末や広報誌を用いた営業活動を行うよう指示しており、各外交員は営業のため会社側から物品などを「購入」せざるを得ないという。労働基準法では、使用者が労働者の賃金から金員を控除することを禁じており、原告側は「業務遂行について生じた費用は事業主が負担すべき」と主張する。

 提訴後に会見した女性は、同じような控除を受ける営業職員は全国に約3万人いるとした上で「経費控除について同意はなかった。控除により給料が最低賃金を下回る仲間もいる」と訴えた。

 年末にはカレンダー代などで10万円近くが控除されるというが、会社側は「営業員との合意がある」として対応せず、今夏申し立てた労働審判でも解決に至らなかった。女性は「業界の慣例とせず、裁判を通じて納得のできる解決をしたい」と話した。

 住友生命保険は「係争中のため回答できない。当社の適法性は訴訟の場で明らかにしたい」としている。