キャッシュレス決済のポイント還元事業のチラシ。6月末で終了し、事業者からは延長を求める声も上がる(京都市山科区)

キャッシュレス決済のポイント還元事業のチラシ。6月末で終了し、事業者からは延長を求める声も上がる(京都市山科区)

 昨年10月の10%への消費税増税に伴い、小売店などに導入されたキャッシュレス決済のポイント還元が6月末で終了する。消費の下支えを狙った事業だが、増税後に個人消費は低迷し、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。売り上げが徐々に戻りつつある小売事業者は、消費のさらなる減退や、キャッシュレス決済時に決済業者に支払う手数料率の引き上げを懸念する。還元期間の延長を求める声も上がる。

 「5%の還元で電化製品にも購買意欲が出ていた。コロナも重なり、もう少し延ばしてくれても…」。京都市山科区の「アトム電器洛東店」の担当者はため息交じりに話す。コロナ禍で3月は売り上げが前年同月から半減。4、5月は大型受注に支えられ2割減にとどまった。冷房機器が売れる夏に向け、業績が回復しつつある中での還元終了に一抹の不安を覚える。
 府北部が地盤のスーパー「さとう」(福知山市)は5%の還元店。6月は冷蔵庫やエアコン、たばこなどで駆け込みとみられる購入が相次ぐ。ポイント還元終了後の7月からはレジ袋の有料化も全国で始まるため「消費者の節約志向がより強まる」とみる。
 5%還元のスーパー「にしがき」(京丹後市)でも洗剤やゴミ袋などで買いだめの動きがみられる。また、還元終了後は客の負担を軽減するため、プライベートブランドの取り扱いを拡大して安価な品ぞろえに努める。大手コンビニ「ローソン」は、7月から2カ月間、セルフレジで買い物をした客に、独自に2%分を同社などで使える「ポンタポイント」などで還元し、客離れを食い止める。
 多くの中小店の事業主が懸念するのが、自店で利用する電子マネーやクレジットカードなどの決済業者から徴収される手数料率が今後上がるかどうかだ。中小店向けの手数料率は通常5~7%とされるが、ポイント還元の期間中は3・25%以下にするよう政府が義務付けている。還元が終われば、事業者が手数料率を引き上げる可能性がある。
 経済産業省は、決済事業者に手数料率などの開示を求めるガイドラインを今月23日に発表。事業者間の競争を促すことで、引き上げを抑制する狙いだ。ただ、還元事業に合わせてクレジットカード決済を導入した酒販売店の男性店主(59)=山科区=は「コロナの影響でただでさえ売り上げが減っている。酒屋の商品は利益が少なく、手数料負担は大きい」とこぼす。
 還元の終了によって消費に反動減が起きる懸念もある。府商工会連合会の沖田康彦会長は「大手スーパーやチェーン店に買い物客が流れかねない。ポイント還元は続けてほしい」と語る。