約30年前に見た映画を思い出し、差別の実態は変わっていないと感じた。米国の黒人映画監督の旗手、スパイク・リーさんによる「ジャングル・フィーバー」▼夜、ニューヨークの路上で白人女性とふざけ合っていた黒人男性に、白人警官がいきなり銃を向ける。女性が「彼は恋人よ」と叫ぶと、男性は「恋人だなんて言うな。(自分が)殺されちまう」―▼黒人と凶悪犯をすぐ結び付ける白人警官の偏見と、恋人が白人だと知れると何をされるか分からないと考えるほどに白人警官を恐れる黒人の本音。ミネソタ州で起きた黒人暴行死事件の背景と同じ、人種間の強い不信感が描かれていた▼事件に対する抗議のうねりは世界各地へ広がった。だが差別の解消がいかに困難かは、同じことが繰り返されてきた歴史が証明している▼映画を見る前年に米国を旅した時のこと。偶然入ったコンビニ店で、それまで談笑していた地元の白人客の一団がピタリと会話を止め、無言で刺すような視線を向けてきた。憎悪の一端に触れた気がした▼差別をあおるトランプ大統領への批判は当然だが、元凶は根強く残る白人優位の思想とその強力な支持者が背後に多くいることだ。それでも今回の抗議活動は、これまでになく白人の参加が目立つという。潮目が変わるだろうか。