遠隔授業やリモートワークが進む中、地方議会も議場でなくオンラインで開催できるようにしようとの声が上がっている。

 今月16日、大津市議会が本会議のオンライン化に必要な法改正を国に求める意見書を可決した。5月には全国都道府県議会議長会が同様の決議をしている。

 再び新型コロナウイルスが広がれば、状況によっては議員の多くが議場に集まれなくなるかもしれない。追加の感染症対策の審議が必要になる可能性もあり、議会機能を維持する手段として、遠隔出席は有力な選択肢といえる。

 なのに学校や企業に比べて動きが鈍いのは、議員の「出席」の定義が壁になっているからだ。地方自治法上、議案の採決に必要な本会議は、議員の半数以上が「現に議場にいる」ことで成立すると解されている。同じ解釈が憲法上定着している国会でも、オンライン審議は実現していない。

 だがコロナを経験した今、これまでの考え方をいったんリセットして、遠隔出席の可能性をしっかり検討する必要があるのではないか。そもそも現行の規定は、インターネットがなかった時代のものだ。

 本会議の前に議案を分野ごとに審議する委員会は、各地方議会で規則変更などをすればオンラインで開催できる。総務省がそう通知を出している。

 委員会、本会議とも遠隔でできてこそ、感染防止と議会機能維持が両立する。とはいえ、法改正をただ待つよりも、ここは各議会が自主性を発揮したい。コロナの感染状況が落ち着いている間に、できることはいろいろあるのではないか。

 宇治市議会は今月4日の各派幹事会を、タブレット端末とビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って開いた。実際に画面を通じて会話してみると、互いに発言のタイミングがうまくつかめないといった課題が浮かんだという。

 委員会以外のこうした会議であれば、規則変更もいらず、試しやすい。各地で取り組みを重ねることで、対応策が具体的に見えてこよう。

 一方で、地方議会には通信インフラがいまだ不十分なところが少なくない。以前から議員全員にタブレット端末を配り、文書管理や事務の電子化を進めている議会がある半面、紙とファクスが中心の議会もある。

 技術的なサポートや予算の不足を指摘する声もある。滋賀県を例にとれば、県議会と13市議会のうち5議会で無線LANが整備されておらず、8議会でタブレット端末が未配布だ。こうした格差を埋める工夫や支援が求められる。

 オンライン化、ICT(情報通信技術)化は非常時の備えにとどまらず、議員の多様性確保、なり手不足の解消の一策にもなり得る。障害のある人、子育て・介護を担う人などが、在宅で議案審査や採決に加われる利点は大きい。傍聴する人の幅も広がるだろう。

 時代に合ったモデルを、地方議会の中から示したい。国会もまた変わらねばならない。