火星の「宇宙基地」に見立てた施設に学生が6日間滞在し、惑星でのミッションを模擬体験する実習を8月に米国で行うと京都大が明らかにした▼アリゾナ州にあるガラスで密閉された人工生態系の中で、植物栽培や天体観測などを行う。実習を指導する宇宙飛行士の土井隆雄さんは「有人探査を想定する2030年代は今の学生が30~40代になったころ。この活動の中から目指す人が出てきてほしい」と期待する▼地球のすぐ外側を公転する火星は、各国が有人探査をもくろむ。16年に公開された映画「オデッセイ」は、単身火星に取り残されたマット・デイモンさん演じる宇宙飛行士が基地でジャガイモを栽培し、科学知識を駆使して生き抜く姿を描く▼赤茶けた地表や青い夕焼けなど、観測に基づいた描写は説得力がある。宇宙生活を想定した厳しい訓練の意義も教えてくれる▼今月3日には中国が月の裏側に無人探査機を着陸させた。日常に追われていると見過ごしがちだが、宇宙開発の歩みは着実に進んでいる。米中による資源獲得競争を懸念する声も、はや聞こえる▼映画では米中が協力して帰還を成功させる。中国市場を意識したとの指摘もあるが星空ぐらい夢を抱いて見たい。浮世を生き抜くつらさをかみしめる時に見上げることも多いのだから。