舞鶴市のパーム油発電所計画に関する、市、日立造船、地元の3者協議で、計画への懸念を述べる住民(左から3人目)=6月13日、舞鶴市喜多・舞鶴21ビル

舞鶴市のパーム油発電所計画に関する、市、日立造船、地元の3者協議で、計画への懸念を述べる住民(左から3人目)=6月13日、舞鶴市喜多・舞鶴21ビル

 京都府北部でパーム油を使うバイオマス発電に住民が反対している。パーム油は国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の対象燃料だが、生産国での熱帯林破壊や発電までの温室効果ガス(GHG)排出量の多さが指摘され、福知山市の発電所では騒音などで住民生活に影響も出ている。地球環境を守る制度の在り方が問われている。

 食品や洗剤、化粧品に広く利用されるパーム油。原料のアブラヤシは東南アジアで生産される。コスト面から発電燃料として注目されるが、発電需要の急拡大による、熱帯林の減少や多様な生態系の損失など農園開発に伴う環境破壊が問題視されている。

 福知山市では2017年に稼働したパーム油発電所で、油の流出事故や騒音が発生。近隣住民が体調不良を訴えたり、引っ越したりする事態になっている。舞鶴市では国内最大級の発電所計画があったが、白紙となった。

 パーム油発電の広がりを後押ししたのが、国が脱原発に向けて12年から始めたFITだ。消費者の電気代に上乗せした賦課金を原資に、一定期間、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスで発電した電気を電力会社が高い固定価格で買い取る仕組みで、本来はエネルギー自給や温暖化対策が目的だった。太陽光の導入が進む契機となり、舞鶴市では合板メーカーが端材や地元間伐材の木質チップを使ったバイオマス発電所を稼働させ、資源の有効活用と地産地消につながっている。

 だが、パーム油発電がFITの趣旨に合うのかは疑わしい。経済産業省の資料では原料の栽培、加工、輸送、燃焼で排出されるGHGは化石燃料の液化天然ガス並みと試算し、熱帯林の開発などを考慮すると石炭発電を大きく上回る。EUでは、輸送用燃料に利用しない方向に進む。

 国も18年の制度見直しで、環境など一定の基準を満たす国際認証油の使用を条件とする規制を設けた。しかし、NPO法人「バイオマス産業社会ネットワーク」をはじめ、環境団体は、認証油を取得しても他の需要が押し出され、新たな農園の開発につながると指摘する。そもそも、海外から燃料を輸送して発電するのもエネルギー自給に逆行し、GHG排出につながる。

 舞鶴市の計画では、舞鶴港のエコエネルギー拠点化を目指す府や、市も事業を推進。住民らの反対に、市は「国が再エネと認めており、地球温暖化防止や地域経済活性化につながる」との立場を変えていないが、国民に負担を求め「クリーンエネルギー」として進める発電で森林破壊を助長しては本末転倒だ。住民の生活を守るのはもちろんだが、「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」を掲げる市の環境問題に対する認識が甘かったのではないか。慎重な検討が必要だったと思う。

 国は20年度からFIT対象の燃料について、GHG排出量の観点から検討を始める。持続可能なエネルギーの導入が適切な形で進むよう、早期改善を期待したい。