政府のポイント還元事業が、きのう終了した。

 消費税率引き上げに伴う個人消費の落ち込みを防ぐとともに、現金を使わないキャッシュレス決済を普及させるのが狙いだった。

 税率引き上げ後の昨年10月から始まり、想定を上回る約115万店舗が参加した。今年3月末までの決済額は約8兆円を超えた。

 国内のキャッシュレス決済の比率は2016年に20・0%だったが、事業が3カ月実施された19年は26・8%に伸びた。

 この決済方法が、すでに社会に定着したことを示している。

 政府は決済比率を25年までに40%程度にする目標を掲げており、キャッシュレスの進展が今後、後戻りすることはないだろう。

 還元事業は、電子マネーやクレジットカードなどを使って買い物をした人に、中小の小売店などで5%、コンビニを含むフランチャイズ店で2%のポイントを与えるというものだった。

 原資は税金で、いわば政府のてこ入れによる値引きである。

 消費増税時に、駆け込み需要の反動を抑える効果があったかどうかは、新型コロナウイルスの感染拡大で消費が落ち込み、判断が難しい。

 一方、コロナの影響で、現金や店員との接触を減らしたり、通信販売の利用を増やしたりする風潮が強まったため、キャッシュレス決済の利用促進には、つながったといえよう。

 日本のキャッシュレス決済は、国際的にはまだ低水準にあるとされる。今回の事業を契機に、デジタル化がさらに進むとみられるコロナ後の社会に、十分適応できるシステムを構築し、普及させてもらいたい。

 事業の実施中、参加した店舗がクレジット会社など決済事業者に支払う手数料には、3・25%の上限が設けられていた。終了後、これがなくなり、一部に引き上げの動きがある。

 店舗側には、売り上げの入金が遅いとの不満もあるという。

 手数料や入金について、政府は決済事業者に情報開示を求めてはいるが、事業のアフターケアを怠ってはならない。

 政府は9月から、マイナンバーを利用した新たな還元事業「マイナポイント」を始める。

 マイナンバーカードとひも付けをしたキャッシュレス決済を行うと、還元のある制度である。消費者の理解を得たうえで、慎重に制度設計すべきだろう。