京都の暑い夏が始まる。きょうは祇園祭の「吉符入り」。1カ月にわたる祭りの幕が開ける。疫病退散が期待されるが、今年は随分と趣が変わりそうだ。新型コロナウイルスの影響で、神輿渡御や山鉾巡行が中止になるからだ▼コロナ対策で関連行事が縮小、中止される可能性もある。何より大勢訪れていた観光客が激減する。どのような状況になるのか想像がつかない▼祇園祭を継承していく上で重要な資金面にも影響するだろう。状況は厳しいが、祭りを担ってきた京の町衆はさすがにたくましい。祇園祭山鉾連合会はネットで資金を募るクラウドファンディングを活用し、返礼品にちまきを贈る▼ネット経由でちまきを授与する山鉾町もみられる。現在の技術ならリモート見学による寄付なども出てくるかもしれない。コロナ禍がデジタルとの融合を祭りにもたらしそうだ▼伝統ある祇園祭もこれまで変化がなかったわけではない。山鉾巡行は応仁の乱や太平洋戦争で途切れ、阪急電鉄の地下工事でも中止になった。前祭と後祭が統合され、6年前に元の姿に戻ったのも記憶に新しい▼今年は勇壮に動く神輿や山鉾を見られない。残念だが、過剰な観光ブームを再考する機会にもなろう。変化を受け入れつつ、住民が主体である祭りの意義を見つめ直したい。