生活に困窮した世帯への特例貸付の状況について話す山崎さん(右)と山口さん=大津市浜大津4丁目・市社会福祉協議会

生活に困窮した世帯への特例貸付の状況について話す山崎さん(右)と山口さん=大津市浜大津4丁目・市社会福祉協議会

 コロナ禍の影響で生活が困窮する世帯を支えるため3月下旬に始まった生活福祉資金の特例貸付。窓口となった各地の社会福祉協議会には申請が殺到し、県内の貸付数は約7千件、総額20億円を超えた。大津市社協の山口浩次事務局次長とグループリーダーの山崎晴美さんは「今もペースが落ちない。休業要請が解除されて1カ月以上たつが、支えが必要な人はむしろこれから増えるのでは」と危惧する。

 「3月25日の受け付け開始とともに相談が従来の50倍に増えた。電話も鳴りやまず、どうなるのかと焦った」と2人は振り返る。
 国の福祉資金はもともと低所得者向けの制度だったが、新型コロナの影響による失業や減収で生活が苦しい世帯にも特例で対象を広げた。緊急小口資金として最大20万円、総合支援資金として月最大20万円を3カ月間、無利子で借りられる。

■相次ぐ切実な相談

 寄せられる相談は切実だった。「売り上げが激減し、先が見えない。1人で小中高校生3人を養っており、助けてください」(飲食店経営・30代女性)。「2月末に開業したがすぐに休業し、予約も全てキャンセル。妻のパートは減り、子どものアルバイトもなくなった」(不動産・40代男性)。「収入は激減し、妻のパートも自粛となり、年金だけでは生活できない」(タクシー運転手・70代)。
 「ほとんどはコロナ以前は普通に生活できていた人。ギリギリまで頑張って、とうとう耐えきれなくなった人が目立つ」と山崎さんは話す。県全体の貸付総額は3カ月で20億3300万円に達し、リーマン・ショック時3年間(14億9千万円)の1・4倍に及ぶ。うち約3分の1を大津市内が占める。
 昨年の生活福祉資金貸付の相談は月平均5件。今春も当初は3人で対応していたが「とてももたない」と別の課員10人も応援に加わり市社協を挙げての態勢を構築。感染リスクを防ぐため、4月からいち早く郵送での受け付けに変更したが、現場では悩みもあった。

 「普段なら困りごとをじっくり聞き、関係機関に同行するなどして相談者に寄り添うのに、それができない。非常時だから、お金を必要とする多くの人にスピーディーに届けるのが大事だと皆で話し合った」と話す。

■「折れそうな心支えられた」

 忙殺される中、毎日終業前には全員でミーティングを開いた。次々変わる制度などの情報や他社協の参考事例のほか、「チェックが甘く県社協から書類が戻された」などの失敗も共有した。一方で、「1週間で入金され、本当に助かった」という感謝の声も伝えた。「折れそうな心が支えられた」という。
 現在も貸付の相談や申請は日に40~50件あり、高い水準が続いている。山口さんたちは「新たな失業者が増え続け、特例貸付だけでは限界を感じる。就職や生活物資の支援などさまざまなサポートを息長く続けないといけない」と話す。