「数珠回し」をする壬生寺保育園の園児ら(京都市中京区)

「数珠回し」をする壬生寺保育園の園児ら(京都市中京区)

 新型コロナウイルスの影響で「地蔵盆」の開催が危ぶまれている。子どもの無病息災を祈るため、京都府や滋賀県などで催される夏の地域行事だが、「密」にならざるを得ない事情があるからだ。少子高齢化で地蔵盆を取りやめる地域も増えているといい、地域コミュニティー維持のため、開催を推奨する京都市は、感染対策を講じた「数珠回し」を紹介するなど、開催への道を探っている。

 「感染対策をしっかり守れるか不安だった」。地蔵盆行事が中止となった京都市右京区太秦土本町の高岡宏行さん(77)はこぼす。地域の地蔵盆では住民に加え、帰省してきた地域外の子どもも多く参加してきた。「設置する日よけテント内に子どもたちが密集し、楽しくおしゃべりもする。もし新型コロナが発生してしまったらと考えると中止はやむを得ない」

 区役所には地域からの相談が多数寄せられており、右京区役所には複数の町内会から中止の連絡が入っている。市中心部の上京区担当者は「開催するためにどうしたらいいか、と相談に来る人も増えてきた。感染対策を万全にとアドバイスするしかない」と難しさを語る。

 市によると、市内での地蔵盆は少なくとも江戸時代から続いている。お地蔵さんに感謝し、子どもの安全を願って営まれ、ゲームなどのイベントも開催される。市は、世代間交流で地域力を高める重要行事として、開催を推奨している。

 地域の悩みを受け、市文化財保護課は、ホームページ「京都をつなぐ無形文化遺産」上で、地蔵盆における感染対策を紹介する動画を作成。近く配信する予定だ。他にも市民からアイデアを応募、共有できるものは随時公開していく、という。同課の伊藤勲担当課長は「地域で脈々と受け継がれてきた大切な行事。動画を参考にして、できる範囲で開催してほしい」と話した。

 先月22日には、壬生寺保育園(中京区)の協力で、地蔵盆には欠かせない「数珠回し」の動画を撮影。回す前に園児たちは手洗いを徹底、数珠もアルコール消毒し、会場となった壬生寺本堂の扉も換気のために開放した。普段は多くの子どもが参加できるように密接して回すことが多いが、間隔を1~2メートル空けるよう配慮している。

 壬生寺の松浦俊昭副住職(52)は「子どもの減少や地蔵の管理が大変だという理由でやらない地域も増えている。新型コロナでこの状況が進んでしまわないよう、工夫しながら伝統を受け継いでほしい」と話していた。