風疹の感染拡大に、歯止めがかからない。

 国立感染症研究所によると、2013年に1万4千人を超えた患者数は14年以降、300~90人程度で推移していたが、昨年に2946人と急増。今年も先月25日時点で、すでに2196人が感染している。

 国は、過去に公的な制度でワクチンを接種する機会がなかった40~57歳の男性を対象に、本年度から抗体検査とワクチン接種の無料受診券の配布を始めたが、4~7月の使用率は1割程度と低調だ。滋賀県は検査が12%、接種が9%で、京都府では検査、接種とも5%にとどまる。受診の無料化からもう一歩踏み込み、検査や接種に行きやすい環境整備を急ぐべきだ。

 ウイルスによって感染する風疹は、2~3週間の潜伏期間を過ぎると、発熱や発疹、リンパ節の腫れといった症状が出る。まれに高熱の長期化など重症化するが、症状は軽いことが多いという。

 風疹で最も怖いのは、妊娠初期の女性にうつってしまうことだ。おなかの赤ちゃんが心臓病や白内障、難聴などになる恐れがある。「先天性風疹症候群」(CRS)と呼ばれる。

 風疹が大流行した13年は32人、翌14年も9人がCRSと診断された。風疹患者が急増した昨年は1人もなかったが、今年は3人報告されている。拡大防止は大人の責務だ。

 風疹はワクチンの接種で免疫を獲得すれば予防できる。国が無料受診券の配布対象としている中高年男性は、免疫を持ち合わせていない「リスク世代」といえる。

 風疹は感染力が強く、せきやくしゃみでも、うつってしまう。軽い風邪だと思い、感染したまま通勤電車に乗ったり、職場で仕事をしたりすることで、知らず知らずのうちにウイルスをまき散らしてしまいかねない。

 中高年男性以外も風疹にかかる可能性はある。先月25日までの風疹患者のうち21%が女性で、男性の半数は40歳未満だった。誰もが感染源になりうることを忘れてはならない。

 風疹は「社会全体で封じる病」だと意識を変える必要がある。無料受診券の配布で経済的負担はなくなったが、「リスク世代」は働き盛りの世代でもある。仕事を休んで医療機関へ行くのが難しい人もいるだろう。自治体や事業所も、定期健康診断で検査や接種が受けられるようにするなど機会の提供に努めてほしい。