数多くの浪曲レコードをデジタル化してきた古川さん(京都市西京区・日文研)

数多くの浪曲レコードをデジタル化してきた古川さん(京都市西京区・日文研)

公開された日文研ホームページ上にある浪曲のデジタルアーカイブ

公開された日文研ホームページ上にある浪曲のデジタルアーカイブ

 国際日本文化研究センター(京都市西京区)が、明治から昭和初期の浪曲(浪花節)SPレコードのデータベースを、インターネットで公開した。浪曲としては初めての公開データベースで、国内のレコードとして最初期に録音された貴重な音源を含む、浪曲最盛期を彩る名人たちの語りを聞くことができる。

 レコードは収集家の故森川司さんから、約1万3千枚を研究者を通じて日文研が2014年に譲り受けた。重複を除いた9998枚を、日文研の古川綾子助教(日本芸能史)が、レーザーを用いた再生機などを組み合わせ、デジタル化している。音源のほか、レコードの画像や、出版年を特定した典拠などもデータベース化した。
 16年に始まった作業では、これまでに約5700枚が完了し、著作権をクリアした2548枚を今回公開した。最終的に3853枚のオンライン公開を目指す。著作権が不明確な作品は日文研内での公開に限定する。古川さんの集計では、インターネットで公開されたレコード音源としても、国立国会図書館に次ぐ枚数となったという。
 レコードの録音としては国内最古級の、1903(明治36)年に録音された浪曲師・浪花亭愛造「後藤伏太郎の伝」「鍋嶋騒動」などの語りもある。英国にあったグラモフォン社の技師が機材とともに出張して日本で録音し、その後日本に逆輸入された音源で、特有の雑音の奥に落ち着いた語り口が聞こえる。このほかデータベースには、浪曲全盛期を彩った二代目広沢虎造や桃中軒(とうちゅうけん)雲右衛門なども名前を連ね、公開分の浪曲師は424人に及んだ。「清水次郎長伝」「国定忠治」など任侠物や、義士伝の作品が多い。
 浪曲は戦前から戦後間もないころには、ラジオやレコードで落語や講談より高い人気を誇っていたとされる。メロディーに当たる節(ふし)は「他人をまねしてはいけない」という伝統があり、当時人気を集めた名人芸も「一代限り」。今回の公開を古川さんは「初期から全盛期の浪曲史をなぞるように味わえる貴重な音源」と話している。