文字認識性能の検証用画像。新技術では、これら不鮮明な画像から平仮名を認識できるようになった(信号処理学会誌、22巻、3号、2018年、pp.+121-134に掲載された論文の画像)

文字認識性能の検証用画像。新技術では、これら不鮮明な画像から平仮名を認識できるようになった(信号処理学会誌、22巻、3号、2018年、pp.+121-134に掲載された論文の画像)

 防犯カメラに残された不鮮明なナンバープレート画像を解析する新技術を、滋賀県警科学捜査研究所の辻広生主任研究員(38)が開発した。人工知能(AI)の導入でひらがな部分を読み取れるようになり、従来の手法に比べ、不鮮明画像の解析精度を大幅に向上させた。今後、県警で実用化に取り組むという。

 ナンバー解析は、交通事故や刑事事件など多様な捜査で重要になるが、コンビニなどの防犯カメラ画像は、たいていが鮮明に映らない。肉眼ではほぼ読みとれず、科捜研で解析することも多いが、画質が悪く不審車両の絞り込みができないケースもある。

 辻研究員は、明るさの補正、解像度の改善、文字認識能力の向上の3技術を新たに開発し、不鮮明画像から数字や文字を読み取る精度を高めた。特に文字認識能力では、人間の視覚を模したプログラムにAIを活用し、不鮮明画像で文字がどのように崩れるかを繰り返し学習することで、従来は難しかったひらがなの読み取りに成功した。

 これらの3技術を総合することで、不鮮明なナンバー画像を解析した際の正答率が、従来の2倍に向上した。実用化には、証拠として使えるよう、さらに実際の画像を使った解析結果の蓄積が必要という。

 辻研究員は、2015年から立命館大大学院博士課程に在籍しており、この研究で博士号を取得した。辻研究員は「車両の特定ができず、現場の捜査員から歯がゆい思いを聞くこともあった。期待に応えられるよう実用化に取り組みたい」と話す。