つい半年前まで、味の名店や写真映えスポットの代名詞が行列だった。連なる列がさらに人を呼び、長さが人気のバロメーターともなった▼コロナ禍が変えた風景の一つだろう。濃厚接触を避けるため、列に並ぶこと自体をためらうようになった。人と人の間を極力2メートル空ける社会的距離が求められている▼きのうの本紙に、京都府は6日から、運転免許証やパスポートの申請・更新の受け付けで、妊婦や子連れの人の優先レーンを設けるという記事があった。待ち時間の負担や感染リスクを減らす全国初の子育て応援策という▼待つ間に子がむずかるなどの不安を抱える保護者は大助かりだろう。通常の待ち時間は30~45分、繁忙期は1時間超にもなっている。親子向けから広げ、全体の時間短縮も進めてほしいところだ▼働く日本人が行列に並んだために失う機会費用は、1人1時間当たり2500円とはじいた民間研究がある。さらに感染拡大の恐れと対応策が加わると、社会的損失はより大きい▼再開したレジャー施設なども人数制限や予約制を取り入れ、行列や密集をつくらないよう工夫している。役所や病院、銀行の窓口はじめ、手続きや決済のデジタル化の加速も欠かせない。需要のある証しと放っておかず、並ばない快適さと安心こそ是としたい。