新型コロナウイルスへの警戒を呼び掛ける「東京アラート」は、解除されたのではなかったか。

 東京都内で2日、新たな感染者が107人に上った。翌3日は、120人を超えた。

 3桁の新規感染者が判明するのは5月2日以来、2カ月ぶりのことになる。

 一時は収まってきていた感染が、拡大に転じている。いわゆる「第2波」に襲われることが、心配される。

 再び警戒を強めなければならないはずである。

 臨時の記者会見を開いた小池百合子都知事は、専門家の意見を踏まえたうえで、都内は「感染拡大要警戒の段階にある」とした。

 一方で、休業や外出自粛などの要請の再開には否定的な姿勢を明らかにした。

 政府も、緊急事態宣言を再発令する状況にはない、とする。

 感染の予防と、経済活動の両立を目指すというわけだ。

 都が、「東京アラート」を改定して設けた新たな指標は、4段階で警戒度を示す。

 それによると現在、感染状況については、警戒度の2番目に高い「感染が拡大しつつある」だとされている。

 入院者数や重症者数などから判断される医療提供態勢に関しては、3番目の「態勢強化の準備が必要」と位置付けた。

 つまり、感染が拡大し続けていた3月や4月と比べて、検査体制が整ってきたので、感染者の人数は確かに増えている。だが、病床の増加などで、医療崩壊の危機にはない、といいたいのだろう。

 事実に基づく科学的な判断であるならば、尊重したい。

 とはいえ、判断の背景に、ここまで経済活動の再開が進むと、休業や外出自粛を再び要請するのは難しい、との認識があることも否定できまい。

 これにとらわれ、感染の現実を直視しないようなことは、避けてもらいたい。

 感染再拡大が、東京都内にとどまるとは考えられない。

 地方に波及する可能性を指摘する専門家は、都道府県をまたぐ移動の自粛を要請しなければ、3月や4月ごろのように感染者が増えると警告する。

 再拡大は、若年層を中心に夜の街で起きているとされる。感染の傾向を分析し、きめ細かく対応することも大事だ。

 単に、警戒を呼び掛けるだけではいけない。具体的な対策を用意しておくべきだ。