通常国会がきのう召集された。平成最後の国会開会となり、新しい時代へ向けた活発な議論が求められる。

 安倍晋三首相の施政方針演説は2012年の第2次政権発足後、7回目だ。原稿の文字数は安倍内閣では過去最多という。

 だが、7月の参院選などを控え「リスクを避けたい」との思惑が透ける。毎月勤労統計の不正調査問題は陳謝したものの踏み込みが足らず、憲法改正についてもトーンダウンした。冷え込む日韓関係にも言及はなかった。

 会期は6月26日までだが、事実上の「政治休戦」になると予想される統一地方選や、皇位継承に伴う10連休もある。

 政府は、野党との対決が予想される法案の提出を先送りし、本数を60本程度に絞り込む方針だ。

 これでは予算案の審議と皇位継承が終われば、すっかり「選挙モード」になってしまわないか。窮屈な日程を理由に、審議の空疎化がますます進むようなことがあってはならない。

 昨年の通常国会では財務省による決裁文書改ざん問題が発覚し、大島理森衆院議長が改善を促す異例の所感を発表した。

 劣化が目に余る行政をいかに政治がコントロールできるかが問われている。今国会も勤労統計問題が重要なテーマとなる。

 これまで以上に国会の存在意義が問われていることを、与野党ともに自覚するべきだ。

 国会審議では、まず19年度予算案が焦点となる。一般会計の総額は当初予算として初めて100兆円を突破したが、財政健全化への不安は高まるばかりである。

 肥大化する防衛費や、大盤振る舞いの消費増税対策など内容の精査は欠かせない。先進国で最悪水準の財政状況をどう改善するのか、徹底した議論が要る。

 首相演説ではアベノミクスの成果や社会保障の充実を前面に押し出したが、都合の悪い話にも向き合わなければ、かえって有権者の不信を招くことになる。

 4月から外国人労働者の受け入れが拡大される。法案審議が極めて不十分だったため、多くの課題が残されたままになっている。

 勤労統計不正は全容解明が必要だ。抜本的な再発防止策を講じるためには、統計業務を巡る構造的な問題にもメスを入れなくてはならない。

 議論すべきことは山積している。野党にも参院選に向け積極的に争点を立てる責任がある。