「食べ物を粗末にしてはいけない」と教わった人は多いだろう。まだ食べられる食品が大量に捨てられるとなると、誰もが「もったいない」と思うはずだ。

 そんな「食品ロス」を減らそうという動きが広がっている。超党派の議員連盟が、削減法案の骨子をまとめた。国民がそれぞれの立場で参加する「国民運動」と定義し、通常国会に提出するという。

 法案骨子は、関係閣僚や有識者でつくる「食品ロス削減推進会議」を内閣府に新設すると明記。政府は基本方針、自治体は具体的な推進計画を作成し、貧困などで食べ物に困っている人らに食品を提供する「フードバンク活動」を支援するといった内容だ。

 どんな取り組みが求められるのか。ぜひ議論を深めてほしい。

 日本は有数の「食品ロス大国」ともいわれる。推計では、年間の食品ロスの量は約646万トン(2015年度)。飢餓の解消に向けた世界全体の食料援助量約320万トンの約2倍に当たる。

 一方で食料自給率は先進国最低水準にあり、大量の食料を輸入に頼っている。問われているのは、そんな社会の在り方である。

 近年、食品ロスの「象徴」のように問題視されているのが、2月の節分に食べる恵方巻きだ。

 人気商品として定着したが、過剰生産により売れ残りが大量に廃棄されている。農林水産省は今月、需要に見合った販売をするようコンビニやスーパーの業界団体に文書で要請した。

 業界では予約の強化やシーズン後の販売継続などの対策もみられるが、個別商品を取り上げることに戸惑いの声もあるようだ。

 団体関係者は「食品ロスを減らすには消費者が品切れを理解する必要がある」と話す。うなずける面もあるのではないか。

 国内の食品ロスのうち、半分近くは家庭で発生している。求められるのは国民一人一人の意識改革だろう。

 自治体の関心も高まっている。「宴席では最初の30分と最後の10分は自分の席で料理を食べよう」という長野県松本市の「30・10運動」は共感を広げている。

 松本市では一昨年に「第1回食品ロス削減全国大会」が開かれた。昨年10月には京都市で第2回大会があり、食品ロス削減によって持続可能な社会を実現するアピール文を初めて採択した。

 身近なところからできることはないか。知恵を出し合って取り組みを広げたい。