ユーミンこと松任谷由実さんは歌詞で「ぎこちないぬくもり」を「ふるさとの両親がよこす手紙のような」と例えた(「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」)。親元を離れて暮らす人には思い当たるだろう▼新型コロナウイルスで故郷は一時遠のいた。移動自粛で帰省がままならない若者を応援しようと、自治体が地元の産品を送る動きが広がった▼亀岡市は京都府外に進学した学生向けに「ふるさと小包」を企画した。親の申し込みを受け、約230人に発送した。中身はレトルトカレーや無洗米などささやかでも、「心が温まりました」「元気が出た」と礼状が寄せられている▼コロナ禍で仕方ないとはいえ、政府の専門家会議の「オンライン帰省」なる提案を耳にしたときは苦笑した。年老いた両親がパソコンやスマートフォンでビデオ通話できるとは思えなかったからだ▼オンラインでは手を握ったり、肩を抱いたりはできない。故郷との距離は縮まっても、やはり物足りない。だが、依然コロナがくすぶる中、新たな生活様式として受け入れる人も増えていきそうだ▼スマホの通信アプリなどを使って遠方の孫とのやりとりに挑戦するシニア世代もいるだろう。家族の様子を確認し、近況を報告する。操作がぎこちなくても、きっとぬくもりは伝わる。