6月29日 ビートルズ来襲
 1966年の今日、午前3時39分、ザ・ビートルズが羽田に降り立ちました。翌日から3日間、ロックバンドとして初の日本武道館での公演を開催。全11曲、全5回。日本の若者文化に巨大な爪跡を残す。2カ月後のサンフランシスコを最後に彼らは一切の公演活動を中止。54年前あの場に立ち会えた人の幸運を思います。現役時代を知らぬ私にも、しかし213曲の公式録音が残され、彼らの音楽と出合えた幸運をかみしめます。

6月30日 トランジスタ
 「授業をサボって陽(ひ)のあたる場所にいたんだよ」と忌野清志郎が歌ったのは「トランジスタ・ラジオ」。1960~70年代の海外音楽情報はラジオが中心でした。真空管からトランジスタに変わり、個人の部屋や屋外で聴けるようになった。私も兄のラジオを借り、深夜放送を聴いたもの。滋賀からは近畿放送(現・KBS京都)は鮮明で、東京の文化放送は雑音のかなたでした。今日はトランジスタが米国で発表された記念日(48年)。

7月1日 歩く人
 1979年の今日「ウォークマン」が発売されました。それまでのテープレコーダーを再生のみの小型にして。音楽を持ち歩けるようにしたソニーの大発明。青色ボディーにSTEREOと大書された3万3000円の機械は、80年代の若者の生活様式を変えました。1人で集中して聴く音楽。後の瞑想(めいそう)するサルのCMも印象的でしたね。同時期に登場したYMOのテクノポップを聴きつつ街を歩くと、未来人になった気がした。

7月2日 新三人娘
 今日は小柳ルミ子と南沙織、2人の誕生日です。天地真理を加え「新三人娘」と呼ばれた1971年デビュー組。それぞれ「わたしの城下町」「17才」「水色の恋」が大ヒットしました。ルミちゃん、シンシア、白雪姫…身近にいそうな、共に成長してゆく同世代。応援したくなるアイドルの時代の開花です。中学生の私は芸能誌「平凡」「明星」を買い、付録のポスターを貼った。横長の歌本はバス遠足の必須のアイテムでした。

7月3日 未来に戻れ
 父母が結ばれないと自分が消えちゃう…過去へ急げ、マーティ! 映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見た時の興奮は忘れられません。完璧なプロット、ギャグ、敵役、ちりばめられた小道具(ダウンベスト、スケボー、ペプシ…)。基調となったのは主人公愛するロックンロール。ご機嫌な音楽映画でもあるのです。今も街でラジオで流れるヒューイ・ルイスの主題歌にはわくわく。1985年の本日、米国で公開された。

7月4日 アリスの日
 私の「不思議の国のアリス」体験はまず絵本、そしてディズニー映画でした。音楽と色彩、ナンセンスの洪水で、ミュージカルの楽しさも知った。チェシャ猫や芋虫、帽子屋たちが、でたらめオッケー、と歌って教えてくれました。1862年の今日、英国のテームズ川のピクニックで、数学者ルイス・キャロルが3姉妹に語って聞かせた物語が原型です。しかも3年後の今日は最初の本の発売日でもある。だから本日はアリスの日。

7月5日 ユーミン、デビュー
 ニューミュージックというジャンルが確立されたのは1970年代半ば。芸能色の濃い歌謡曲とは一線を画し、従来のフォークのメッセージ性も薄い、歌い手個人の心情、暮らしの形がくっきり見える洗練された歌。ライブ中心、テレビではなく主にラジオでしか聴けないという特別感にもくすぐられました。今日はその代表的存在、ユーミンこと荒井(松任谷)由実が「返事はいらない」でデビューした記念日。72年です。

 

~レモンちゃんは遠かった~

 

<文 澤田康彦 絵・題字 小池アミイゴ>

 RCサクセションの「トランジスタ・ラジオ」で歌われる主人公は、授業をさぼり青空の下、屋上でタバコを吸いラジオでホットなナンバーを聴く。とてもカッコいいのですが、ぼくはといえば小心者で、高校で積極的に授業をさぼった経験は1度きり。

 真冬の体育、はだしでやる剣道に体が向かわなかった。彦根の冬の寒さは厳しいのです。教室のストーブ前、ラジオを取り出す…やいなやドアが開き、教師が「コラはよ来い!」と一喝。スケートリンクのような凍った体育館に連行されました。級友たちが笑う。みんなの前で胴着を着て、カッコ悪かったなあ。

 って、とほほの話はともかく、書きたいのは、青春時代はラジオ文化と共にいたってことです。かなりのテレビっ子だったぼくですが、中学生になるとビートルズやサイモン&ガーファンクルなどに触れ、なけなしの小遣いでレコードも買い始め、気持ちは唯一の音源であるラジオに向かいました。高校生になり買ったのはソニーのスカイセンサー。まだエアチェック(番組録音)できる前のこと。ペンを片手に真剣に曲名をメモしたものです。

 当時から東京志向であったぼくは深夜放送の「セイ!ヤング」「パックインミュージック」…を必死で聴き取ろうとしていましたが、電波が悪くレモンちゃん(落合恵子)やナッチャコ(野沢那智・白石冬美)の声、つまり東京の音は遠かった。

 近畿放送(現・KBS京都)も聴きました。「すすちゃん」こと山口進さんの番組にディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」をリクエストしたら、ブレッドのアルバムがプレゼント抽選で当たったのは最高にうれしかった思い出です。

 ああラジオ。家にこもりがちとなった最近も聴き始めています。一番聴くのは懐メロが多くかかる大阪の「FM COCOLO」。

 先日妻に、これからやってみたい仕事はDJやなと言ったら、「パーソナリティー」と訂正されました。「スタジオでレバーをくいっとあげる、あれをやりたい」と言うと、「カフボックスね…もうあんまりないで」と今現にラジオ番組の仕事のある妻はエラそうだ。おお時は流れる。ホットなナンバーをみんなに届けたいんだけどなあ。(編集者)

 ◇

澤田康彦 さわだ・やすひこ 1957年生まれ。編集者・エッセイスト
小池アミイゴ こいけ・あみいご 1962年生まれ。イラストレーター