性別に関わりなく、個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指す。

 そんな男女共同参画社会基本法の理念をどう実現していくかは、農業と農村にとっても将来に向けた大きな課題だろう。

 6月に閣議決定された2019年度版「農業白書(食料・農業・農村の動向)」は、女性農業者に焦点を当てた特集を初めて組み、基本法施行から20年の成果と課題を浮き彫りにした。

 食料・農業・農村基本法にも男女共同参画の規定が盛り込まれ、さまざまな施策の結果、女性の活躍が徐々に進展してきたことが白書からうかがえる。

 例えば、国が地域農業の担い手として支援する「認定農業者」の女性は1万1千人と20年で5倍に増え、認定農業者全体に占める割合も、まだ5%足らずとはいえ3倍に増加した。

 経営耕地面積が30アール以上か農産物販売金額が50万円以上の農家のうち、女性が経営に参画しているのは約5割。農業法人の役員に占める割合も、建設業や製造業とほぼ同水準の2割を超えている。

 目を引くのは、女性が経営に関与する割合が高いほど収益が高い傾向があることだ。

 白書は、女性を含む多様な人材が参画することで顧客ニーズに効果的に対応でき、従業員満足度なども向上するといった分析結果を紹介している。

 大分県国東市でレタスの水耕栽培をしている女性ばかり15人の農業法人は、設立から3年で売り上げを7200万円まで伸ばしている。女性が長く働ける職場づくりを目指し、子育てに合わせた勤務時間の設定や子連れ勤務もでき、女性の就職先として人気が高いという。

 特集では触れていないが、国連の「家族農業の10年」が昨年から始まり、小規模な家族農業こそ持続的だとして、日本など加盟国に家族農業を中心にした農業政策を促している。

 そんな中山間地などの農業にとっても、地元の野菜や山菜を用いた加工品を直接販売する際などに、消費者ニーズへの敏感な対応が期待できよう。

 ただ一方では、農村地域の女性人口は子育て世代を中心に減り続けている。

 白書は、依然として家事や育児は女性の仕事と認識され、男性より負担が重い傾向が残っている、とも指摘する。

 実際、総務省の調査では、農林漁業の女性の1日の仕事、家事、育児の合計時間は、男性に比べ1時間19分多かった。

 そうした負担を分かち合いながら、対等に意見も知恵も出し合っていく。そんな経営に転換し、地域にも意識改革を広げていく必要がある。

 その意味では、仕事、家事、育児、介護などの役割分担や、労働時間、報酬、休日などを家族で話し合い、明確化する「家族経営協定」が、二十数年で10倍を超える51万戸近くに広がったのは歓迎したい動きだ。

 共同参画を阻む要因を一つ一つ取り除き、女性をはじめ、誰もが働き、暮らしたくなるような農村づくりを進めたい。