長い触覚とバッタのような脚が特徴的なアリガタツユムシの幼虫(大津市真野谷口町・春日山公園)

長い触覚とバッタのような脚が特徴的なアリガタツユムシの幼虫(大津市真野谷口町・春日山公園)

昨年8月に撮影されたアリガタツユムシの成虫(高石清治さん提供)

昨年8月に撮影されたアリガタツユムシの成虫(高石清治さん提供)

 アリがキリギリスに-。生まれて間もないころアリの姿に擬態する、キリギリスの仲間で中国原産の「アリガタツユムシ」が、大津市内の複数箇所で見つかり、愛好家たちの注目を集めている。国内での発見例は初めてとみられ、大津市での発見をきっかけに名付けられた。

 アリガタツユムシの幼虫は、最初期にはアリのように黒く体長も5ミリ程度で、触覚がアリよりも長い。脱皮を繰り返して次第に緑色を帯び、最終的には4センチ程度の成虫に育つ。アリに擬態する昆虫はハチやクモなどの例があり、アリの持つギ酸をカマキリをはじめとする捕食者が嫌がって、攻撃されにくくなるなどと考えられている。

 2019年6月に、京阪穴太駅(大津市穴太2丁目)北側で「滋賀むしの会」の会員中川優さん(70)が、幼虫を発見。見慣れない姿に「珍しい。アリではなくバッタの一種では」と関心を持った。県立琵琶湖博物館(草津市)にも前後して「発見」の情報が寄せられていたこともわかり、中川さんが同館でレタスを与えて飼育。緑色の成虫が育ち、国内にはいない種と判明した。

 詳細な調査を依頼された大阪市の研究者市川顕彦さんは、20年2月に専門誌の月刊「むし」に論文を発表し「アリガタツユムシ」と和名を新たに設定した。

 同会の高石清治さん(71)ら愛好家が、寄せられた情報を手がかりにツユムシの住みそうな山や市街地の草むらなど大津市内を20カ所ほど探した。その結果JR堅田駅近くの春日山公園と、市南部の大石龍門など計4カ所で生息しているのが確認された。おおむね6月中旬~7月中旬ごろにアリのような幼虫が見られるという。

 県外にいる可能性も高いが報告例が少なく、生育に適した環境条件や、分布の広がりはわかっていない。なぜ大津市で見つかったのかも不明という。植物の葉を好んで食べるため、チョウの幼虫のように農作物を食べる可能性もあるが、毒は持っていない。高石さんは「今後各地で見つかると生態や影響などの情報も増えてくる」と期待を寄せている。