冷え込みが強まる日暮れ時、搾乳作業に励むインドネシア人技能実習生のインドラさん(滋賀県高島市朽木・宝牧場)

冷え込みが強まる日暮れ時、搾乳作業に励むインドネシア人技能実習生のインドラさん(滋賀県高島市朽木・宝牧場)

外国人労働者の内訳

外国人労働者の内訳

 ゲートに20頭の乳牛が並んだ。滋賀県高島市朽木の山里にある宝牧場。下準備を済ませ、搾乳機を取り付ける。自動で搾り終わると次の一群がゲートへ。黙々と作業を続ける5人のうち、4人は外国人技能実習生だ。

 同牧場は2007年に受け入れを始めた。3年ごとに入れ替わり、今は関連会社を含めて中国やベトナムなど3カ国の8人が働く。田原哲也社長(47)は「長期間働ける制度に変わっていけば、補佐的な仕事だけの今より、重い立場を任せることも考える」と話す。

 昨年9月から働くインドネシア人インドラ・パミル・ディンさん(21)は高校卒業後、ジャカルタで警備員の職に就いた。車で4時間離れた故郷の両親は裕福ではなく「貯金したい。日本語を勉強したい」と来日した。体を動かす今の仕事を「楽しい」と言う。

 一方で、休日は孤独な時間。牧場内の寮からバスで30分かけてJR安曇川駅前へ出掛けても、会話できる日本人はいない。母国の家族との電話が落ち着く瞬間だ。「街へ出るときは一人きり。日本の友達がとてもほしい」とつぶやいた。

 改正入管難民法が成立し、4月から5年間で最大約34万5千人の外国人労働者を新たな在留資格で受け入れることになる。17年10月現在、就労する外国人は全国で過去最多の約128万人、京都府で約1万4千人、滋賀県では約1万6千人に達している。都市と地方の別なく、誰もが一層、隣人として外国人と向き合う時代が訪れる。

 だが、新たな隣人を受け入れる環境はまだ不十分だ。低賃金や長時間労働など過酷な労働環境。生活支援や日本語教育は自治体や民間団体に丸投げされている。習慣の違いで生じる地域との摩擦といった数々の課題をどう解決するのか。

 支援団体「すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク」(RINK)の早崎直美事務局長(67)は、新在留資格へ多くが移行すると見込まれる技能実習生に関し、「日本社会と接触することなく働かされる現状はあまりにいびつ」と語る。

 労働者が「見えない存在」となることで、人権侵害や生活上の困難も外部から気づかれにくくなるという。「過疎高齢化が進む地方では、地域社会の担い手として力を発揮してもらうことだってあり得る。助け合う関係づくりを踏み込んで考える必要がある」

 宝牧場で働くインドラさんが心待ちにする場がある。近くの朽木東小で3学期にある国際理解の出前授業だ。高島市国際協会の取り組みで、宝牧場の協力を得て、実習生たちが講師として市内の小中学校へ赴いている。日本語教室で練習を重ね、母国の文化や日本での仕事を伝えてきた。

 同協会の川﨑功会長(68)は「地域で働く外国人の存在を住民に知ってほしい。子どもを媒介に、新たな隣人へのアンテナを立てる。それが、風通しのいい環境につながる」と話す。インドラさんは仕事に励みながら、出前授業について考えを巡らせる。「しっかり準備したい。『どうして?どうして?』って子どもたちが言うだろうから」

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 2019年が幕を開けた。今年は改元で新しい時代を迎える。急速に進む少子高齢化や国際化、情報技術革命。ポスト平成の世の中は、どのような風景が広がるのか。旧来の価値観が大きく揺らぐ中、多彩な生き方を追い求める人々を訪ねた。