ジブリ旧作4本のポスター

ジブリ旧作4本のポスター

 「ジブリの呪い」「ジブリの法則」という言葉がある。

 日本テレビ系の「金曜ロードショー」で、スタジオジブリのアニメ映画が放映されると、週明けの株式市場が大荒れになるという都市伝説。放映前後にラジオ日経の株式番組を聴くと、当たり前のように使われており、ネット上の百科事典・ウィキペディアにも解説がある。真偽のほどは定かではないが、それほどジブリ映画がテレビで親しまれてきた証し、といえる。

 そんなジブリの旧作が今、全国のシネコンで上映されている。宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」(1984年)、「もののけ姫」(97年)、「千と千尋の神隠し」(2001年)と、長男の宮崎吾朗監督「ゲド戦記」(06年)の4本。

 コロナ禍で新作映画の公開延期が続き、映画館が集客に苦しむ中、宮崎駿監督が「今できることをやるべき」として、上映を了承したという。複数のジブリ作品が全国規模で劇場上映されるのは初となる。

 先月26日から公開が始まると、観客動員ランキングでは、1位に「千と千尋」、2位に「もののけ姫」、3位に「ナウシカ」が入り、2週連続でトップ3を独占。スタローン主演「ランボー」などの新作を上回った。「ゲド戦記」も8~9位に食い込んでいる。

 京都のシネコンで見たところ、客層は10~30代前半が圧倒的に多い。「ナウシカ」で数えると、封切りから36年の歳月が流れている。多くの観客が、これまで映画館では見たことがなかったのではないだろうか。

 大画面で見る楽しみはもちろん、コロナ禍の今、改めてジブリ作品を見ると、今という時代を物語に重ねてしまう。「ナウシカ」では戦争による文明崩壊後、有毒な菌類の森が世界を覆う。「もののけ」では、憎しみの連鎖がもたらす悲劇的な争いを描く。そんな中、光明となるのは、主人公たちの他者へのいたわり、博愛精神だろう。

 「千と千尋」では、「カオナシ」という黒い影があぶく銭のように手から金を出し、群がる者たちをのみ込んで肥大化していく場面がある。「ジブリの呪い」は、あくまで都市伝説だが、ひょっとすると、今も進む過剰な拝金主義や私利私欲への警告を織り込んでいるのかもしれない。