初公開される「霊元天皇即位・後西天皇譲位図屏風」(29日午後3時27分、京都市東山区・京都国立博物館)

初公開される「霊元天皇即位・後西天皇譲位図屏風」(29日午後3時27分、京都市東山区・京都国立博物館)

 江戸時代の天皇の即位と譲位の儀式を京狩野家3代当主が描いた「霊元天皇即位・後西天皇譲位図屏風(びょうぶ)」が見つかり、京都国立博物館(京都市東山区)の特別展で30日から初公開される。新天皇の顔を真正面から描くなど、類似の絵図にはない特徴があり、約350年前の儀式を正確に再現しようとした記録性の高い作品という。

 屏風は六曲一双で、右隻が1663年の霊元天皇の即位、左隻がその約3カ月前の後西天皇の譲位を描き、各高さ約1メートル、幅約3メートル。狩野山楽を祖とした京狩野3代目の永納(1631~97年)の筆とみられる。

 右隻は、現在の京都御所(上京区)にあった紫宸殿と南庭で行われた即位式の中心場面を描く。建物内では霊元天皇が八角形の高御座(たかみくら)に着座。そばの女官が、手に持ったうちわ型の「翳(さしば)」を下げ、天皇の顔を披露するところを描く。

 左隻では、譲位の主な4行事を描写する。最初に行う「警固固関」、譲位の意思を伝える「節会宣制」、宝剣などを新帝に渡す「剣璽渡御」、新帝が清涼殿に来る「新主の御所の儀式等」をおおむね右側から左側へと展開させる。

 屏風は2017年9月、京博の学芸員が京都市内の個人宅で所在を確認し、京博に寄託された。来歴は不明だが、京狩野は五摂家の九条家と深い関係にあり、制作には九条家が関わっていた可能性があるという。

 京博の福士雄也学芸員(近世絵画)は「古代に由来する警固固関が譲位で行われたり、庶民が紫宸殿近くで即位を見守る様子が描かれたりして、かつての重要儀式がよく分かる。天皇の退位や即位を控える今、共通点や違いを視覚的に確かめられる貴重な記録的な資料だ」としている。3月10日まで、関連資料とともに展示する。有料。