自転車運転中のイヤホンや携帯電話の使用禁止を呼びかける京都大の学生たち(2013年11月、京都市左京区の百万遍交差点)

自転車運転中のイヤホンや携帯電話の使用禁止を呼びかける京都大の学生たち(2013年11月、京都市左京区の百万遍交差点)

 京都府内で11月から、携帯電話やイヤホンを使用しながら自転車を運転する「ながら運転」に5万円以下の罰金が科されるようになった。周囲が見えにくかったり聞こえにくかったりする状況で自転車を運転すれば、自分の身だけでなく他人も危険にさらす。罰則化は「ながら運転」根絶の切り札になるのか。取り組みと課題を追った。

 通勤通学時に自転車が行き交う京都市左京区東一条通東大路の交差点。今月11日、記者は午前8時10分から30分間、定点観測した。同通を走行した自転車は262台あり、うち8%にあたる21台が運転中にイヤホンを使っていた。
 8%という数字は5月に府警が府内で実施した調査結果(8%)と変わらない。罰則導入後も、なお多くの人が「ながら運転」を続けている現状が浮かび上がった。
 この時間帯は300メートル先の第四錦林小の登校時間。児童を見守っていたボランティアの山川美潮さん(73)は「特に怖いのはスマートフォンを見ながらの自転車の運転。スピードも出ていて危ない」と顔を曇らせた。
 実は、京都府は全国に先駆けて「運転中の携帯電話禁止」を明記した自転車安全利用促進条例を2007年に制定した。だが、条例には罰則規定がなく、違反者を見つけても指導警告するだけだった。今回、府道路交通規則を改正して府警が罰則規定適用に踏み切った背景には、多機能携帯端末の急激な普及があり、従来の対策だけでは事故の加害者になりうる「ながら運転」が一向に減らないという危機感がある。
 府警によると、府内で昨年起きた自転車の絡む事故は2526件(前年3027件)。このうち、自転車側が過失の重い第1当事者となった事故は259件に上った。
 上京区で11月2日、携帯画面を見ながら自転車を運転し、警察官の警告に従わなかった20代の男子大学生に対し、府警は交通切符(赤切符)を切った。罰則導入後2週間で摘発は1件だが、府警交通事故防止対策室の桂光良室長補佐は「悪質な運転手は取り締まっていきたい」と話す。
 抑止力を高めるには自転車の利用や音楽を聴くことが多い若年層に周知徹底できるかが鍵を握る。府警は「ながら運転」禁止を記したチラシを府内の大学や全高校に配るなどPRに躍起だ。
 安全な道路環境をつくるため、地域を巻き込んだ取り組みも広がる。左京区の京都大の近くで11月初め、学生や地元住民ら約60人が川端署員と運転中の携帯電話とイヤホンの使用禁止を呼びかけた。京大アメフット部員の4年南川太志さん(23)は「罰則も効果はあるが、世代の違う住民たちが集まり、地域の一人として自発的に考えていくことが大切」と力を込めた。