九州豪雨の被害が拡大している。気象庁は福岡、佐賀、長崎3県の自治体にも大雨特別警報を発表した。熊本、鹿児島の両県に出してからわずか2日後である。

 気象庁の担当者は「梅雨前線が同じところにこれだけ長く停滞するのは、経験がない」という。

 「数十年に1度の大雨」が頻繁に発生し、毎年のように各地を襲っている。災害環境が様変わりし、これまでの防災の常識が通用しなくなりつつある。

 そうした中で身を守るには、何より早めの避難を心掛けることが大切ではないか。

 山沿いや川沿いの地域は、自宅の位置を自治体のハザードマップで確認しておく必要がある。少しの雨でも注意し、ためらわずに行動することが求められる。

 熊本県南部の雨は3日から降り始めた。気象庁は4日未明に大雨特別警報を発表した。

 だが特別警報の際には既に災害が起きている可能性が高い。本来はそれまでに避難が終わっていなくてはならない。

 2年前の西日本豪雨では、住民に危険性が十分伝わらなかったことが課題として浮上した。

 特別警報を設けたことで従来の警報が軽く受け止められ、避難が遅れたとの指摘もあった。

 これを教訓に気象庁は、切迫の度合いに応じて5段階に区分した警戒レベルを設けた。昨年5月末から運用を始めている。

 最高のレベル5は特別警報に相当する。それまでに「高齢者らは避難」のレベル3、さらに「全員が緊急避難」のレベル4に達していたはずだ。

 こうした指標が今回、住民にどこまで浸透していたか。さらに実際の行動に結びついたのか。十分な検証が求められる。

 突然襲ってくる地震と違い、水害には時間の余裕がある。行政や自治会などが、やるべきことをどれだけ準備していて、対応できたかどうかも問われる。

 避難所に行くことだけではなく、自宅の2階に逃げるといった避難の方法もある。状況に応じて最善の行動を取ることが大切だ。

 自分は大丈夫と思い込む「正常性バイアス」の克服も課題だ。住民に声をかけて避難を促すような、地域の防災リーダーの役割が重要になってくるだろう。

 老人ホームで入所者14人が犠牲になったのは大変痛ましい。避難が間に合わなかったとみられる。どうすれば防げたのか、課題を問い直さなければならない。