京都市消防局が新型コロナウイルス感染症の患者の移送で使用している救急車。運転席と患者室の間はビニールカーテンで仕切っている(中京区・市役所)

京都市消防局が新型コロナウイルス感染症の患者の移送で使用している救急車。運転席と患者室の間はビニールカーテンで仕切っている(中京区・市役所)

 新型コロナウイルスに感染した患者への対応で、検査や入院と同じように欠かせない行程が、病院などへの移送だ。感染症患者の移送は感染症法で保健所の業務と位置づけられているが、京都市では市消防局が移送の専門部隊を立ち上げ、軽症者の搬送を担う。移送の大半を消防が担うことで、保健所の負担軽減にも一役買っている。

 厚生労働省は2月、新型コロナの感染拡大に備えようと、総務省消防庁に移送体制への協力を要請。同庁はこれを受け、全国の消防部局に保健所と連携の上、移送業務に協力するよう求める事務連絡を出した。

 京都市では当初、市が委託する京都保健衛生協会(南区)だけが移送を担当したが、所有する車両が2台しかなく、1日10人以上の感染者が出る事態に業務は逼迫(ひっぱく)。そもそも平時の感染症患者の移送は年間10~20件程度で、連日何件も感染者が出る新型コロナのような事態は「想定していない」(保健所)。

 市消防局は4月、専門部隊として「移送支援隊」を編成。各消防署に1台ずつある予備の救急車を使用し、患者が自宅から療養先のホテルに移動する際や、症状が回復して転院する時などに出動している。

 4月16日から7月12日までの間の出動は125件で、1日最大6人を運んだ。車両には運転席と患者室の間にビニール製のカーテンを取り付け、救急隊員らへの感染を防止。走行時は赤色灯はつけず、サイレンも鳴らしていない。一方、搬送時に応急処置が必要な重症者は通常の救急車で対応している。

 市保健所の井上ひろみ感染症対策担当課長は「消防局の協力なしに患者の移送は成り立たない」と語る。消防局の西川裕之救急課長は「移送体制を整えることで市民の安心安全の確保に役立つことができれば」と話している。