京都大学(京都市左京区)

京都大学(京都市左京区)

 アトピー性皮膚炎のかゆみを抑制する治療薬候補「ネモリズマブ」を用いた一連の治験がほぼ終了したと、京都大医学研究科の椛島(かばしま)健治教授と製薬会社マルホ(大阪市)が発表した。今後、長期的な経過観察などを経て医薬品としての販売を目指す。今回の結果は9日、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。

 同皮膚炎は成人の2~3%、小学生の10%が患者とされる。皮膚のバリアー機能の障害に伴い湿疹やかゆみが生じる。塗るタイプのステロイドなど外用免疫抑制剤が処方されるが、かゆみ自体を抑える有効な薬はまだない。

 椛島教授らは、生理活性物質「IL-31」が神経細胞を刺激することを抑えるネモリズマブを開発。既に初期の治験で単独の使用によりかゆみを抑えるのを確認していた。今回は日本国内の患者215人を対象に、外用免疫抑制剤などと併用してより実用に即した方法で効果と安全性を判定する治験を実施した。

 参加患者は中等症-重症の13歳以上の男女。免疫抑制剤に加え16週にわたって4週に1回ずつネモリズマブを皮下注射した。その結果、ネモリズマブを投与しない場合でかゆみ症状が21・4%の低下率だったのに対し、投与すると低下率は42・8%だった。湿疹症状も改善した。

 椛島教授は「アトピー性皮膚炎の『かゆみ』は患者さんの大きな苦しみとなっている。ネモリズマブがその苦しみの軽減につながる可能性がある」と話す。