彦根交番射殺事件の初公判で傍聴券を求めて並ぶ市民ら(30日午前8時47分、大津市・大津地裁)

彦根交番射殺事件の初公判で傍聴券を求めて並ぶ市民ら(30日午前8時47分、大津市・大津地裁)

  滋賀県警彦根署の河瀬駅前交番で昨年4月、当時19歳だった巡査の男(20)=懲戒免職=が上司を拳銃で射殺した事件で、殺人と銃刀法違反(発射、加重所持)の罪に問われた元巡査の裁判員裁判の初公判が30日、大津地裁(伊藤寛樹裁判長)で始まった。元巡査は罪状認否で「その通りです。間違いありません」と事実関係を認めた。弁護側は、心神耗弱(こうじゃく)を主張した。

 検察側は「上司の厳格な指導に怒りを爆発させたが、逃走時に交番を施錠する、制服を捨てるといった犯行の発覚を遅らせるなど合理的に行動しており、弁護側が主張するような、適応障害により責任能力が著しく減退した状況ではなかった」と完全責任能力があると主張した。また、「動機は短絡的で、自己中心的」と指摘した。

 弁護側は、被告が犯行前の状況について「書類作りができない自分に苦しみ、萎縮した状況で誰にも相談できず、寝ることができませんでした。この人が死んだら楽になると、フワフワした現実感のない状況で引き金を引いた」などと述べているとし、病的な心理状態で刑を減軽すべきと主張した。また被告の現在の心境として「厳しい指導で育てようとしてくれた。罪悪感でいっぱい。許されないことをした自分を激しく責めている」と述べているとした。

 今後の公判では、元巡査が心神耗弱状態で責任能力は限定的だったのかどうかが争点となる。2月1日には鑑定人の尋問が予定されている。

 起訴状では、元巡査は昨年4月11日午後7時47分ごろ、同交番(滋賀県彦根市南川瀬町)で、拳銃を2発発射し、上司の井本光巡査部長(41)=警部に昇任=の後頭部と背中に命中させ殺害。パトカーで逃走し、不法に拳銃と実弾3発を所持したとしている。

 この日の大津地裁での公判では、元巡査が逮捕当時少年だったため、実名を伏せて進められた。元巡査は犯行時少年で、逮捕後に少年審判を受けたが、大津家裁は昨年5月、成人と同じ刑事裁判で審理を受けさせるのが相当とし、検察官送致(逆送)を決定した。