新入社員に尋ねた本年度の意識調査によると「出世しなくても好きな仕事を楽しくしたい」が52・1%で「出世したい」の47・9%と張り合っている(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)▼出世願望は人それぞれのようだが、魚の出世はだれからも期待されている。その「出世魚」の頂点に立つのが今が旬のブリだ▼日本三大ブリ漁場として名をはせる京都府伊根町沿岸では定置網などで水揚げされる。回遊して大きくなるにつれ、丹後ではモジャコ、アオコ、ツバス、ハマチ、マルゴ、ブリなどと呼び名が変わり、価格も跳ね上がる▼江戸時代、伊根ではブリ株を持つ漁師だけが取り、宮津藩から「ブリ運上」という税が課せられた。当時はおけで塩漬け保存したが、長い歴史で食べ方も変遷した▼画期的だったのが「ブリしゃぶ」の誕生だ。宮津天橋立観光旅館協同組合によると、今季が「発祥40周年」という。青年部のメンバーが薄切りを煮立った昆布だしにくぐらせてぽん酢で食べる調理法を考案。「寒鰤(ぶり)のしゃぶしゃぶ・出世鍋」と名付けて世に出した▼元メンバーの茶谷昌史さん(77)は「カニには負けないインパクトのある料理を目指した」と振り返る。郷土料理の出世頭となったブリしゃぶにそそられるが「出世払いで」とはいかない。