校区に避難指示が発令された小中学校の対応

校区に避難指示が発令された小中学校の対応

校区に避難指示が出る中、通常通り授業を実施した小学校が保護者向けに判断の理由を説明した文書

校区に避難指示が出る中、通常通り授業を実施した小学校が保護者向けに判断の理由を説明した文書

 「大雨で避難指示が出ているのに、危険を冒してまで登校しなければいけないのですか」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に、小学生の子を持つ女性からメールが届いた。非常に激しい雨となった7月8日朝、京都市の約9千世帯に避難指示が出たが、発令エリアでも通常通りに授業をした小中学校があった。急斜面下や土石流が想定される「土砂災害警戒区域」を通って登校する子もおり、安全面は大丈夫だったのだろうか。

 京都市では8日午前7時までの1時間に北区中川で67ミリ、北区上賀茂で50ミリなど非常に激しい雨が降り、左京区鞍馬や右京区梅ケ畑で土砂崩れが相次いだ。市は午前6時すぎに「土砂災害のリスクが非常に高まり、すぐに避難が必要」として、北、左京、右京区の8920世帯22380人に避難指示を発令した。雨が弱まった午前10時10分に全て解除した。

 8日朝、校区に避難指示が出たのは小中学校計13校。うち6校が通常通りの授業、3校が午後からの授業とし4校が休校した。

 女性が息子を通わせる柊野小(北区)は通常通り授業を実施した。同小の校区は山沿いに住宅が並び、土砂災害警戒区域を通らなければ登校できない児童も多い。校区の中央を鴨川が流れ、農業用水路も多数ある。

 女性は息子を送り出したが「登校時、警戒区域近くや鴨川に架かる橋を通るので心配だった。避難指示が解除されてから授業をしても良かったのでは」と振り返った。

 市教育委員会によると、避難指示が出た場合、学校敷地が土砂災害警戒区域や洪水浸水想定区域内なら登校を見合わせる▽早めに解除されれば授業開始を遅らせる▽午前11時で継続していれば休校にする-という方針がある。最終的には校区内の状況を踏まえて校長が判断するという。

 柊野小は「学校は土砂災害警戒区域外にあるため通常通りの授業とした」とし、土砂災害警戒区域を児童が通ることについては「教員が校区内の状況を確認し、通学路で登校指導もした。メールでも保護者に注意喚起し、一定の安全が確保できた」と説明する。

 市原野小(左京区)や洛北中(同)は校区内で土砂崩れが発生し、通学や教員の通勤が困難になり休校した。上高野小(同)や八瀬小(同)は5時間目からの授業となった。

 新型コロナウイルス感染拡大防止による休校が影響した部分もあった。校区内で土砂崩れが発生した高雄小(右京区)は「地元住民と協議し、安全と判断して通常通り授業をした」としつつ「コロナで授業日数が減り、これ以上授業を遅らせると児童が不利益を被ると考えた」とする。

 一方、宇治市や亀岡市、木津川市など避難指示が出ていなかった京都府南部14市町村の小学校は大雨警報発表を受けて休校し、中学校もほぼ全て休校した。

 京都大防災研究所の牧紀男教授(防災学)は「避難指示が出る中、土砂災害警戒区域を通って登校するのは危険な行為だ。東日本大震災の津波で多くの児童が犠牲になった宮城県石巻市の大川小の場合、学校や市教委の責任が強く問われた。学校は最悪のシナリオを想定して判断すべきだ」と警鐘を鳴らし「保護者も可能なら危険を避けて送迎したり、無理に登校させないようにしたりすることも重要だ」と話す。