においがする。しかも糸を引いている。ナマコとともに、最初に食べようと考えた人の勇気をたたえたい納豆である。美食で知られた北大路魯山人は食べ方にこだわった▼まず、何も入れずに箸でよく練る。「糸を出せば出すほど、うまくなる」そうだ。しょうゆを少し落としてさらに練り、糸が合わさってどろどろになってから、からしを加える▼最近の市販品には、たれとからしの入った小さな袋が付いている。便利なようで、意外と取り扱いが難しい。破る際に力を込めすぎると飛び散って、指や服に付いてしまう▼工夫して、この問題を解決したのは、ミツカンと凸版印刷の両社である。破らなくても中身の出る袋「押すだけプシュッ!と」を、6年半もかけて開発した。これは、国内最大の包装分野のコンテストで昨年、日本包装技術協会の会長賞に選ばれた▼納豆の消費は近年、右肩上がりで伸びている。一部では品薄感も伝えられた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って家庭での食事が増え、安くて調理いらずと重宝されているようだ。免疫力を高めるとの説も追い風となった▼とはいえ、ファンや生産者のこだわりと工夫の積み重ねが功を奏した、ともいいたい。臭い物にふたをせず、粘り強く向き合うことが大事と思う「納豆の日」である。