「骨太」と呼ぶには程遠い、付け焼き刃の印象だ。

 政府が、2021年度予算編成はじめ経済財政運営の指針となる「骨太方針」案を諮問会議に示した。

 新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立に主眼を置き、官民のデジタル化推進や東京一極集中の是正を柱とした。

 コロナ後の「新しい生活様式」を印象付ける内容だが、総花的で、踏み込み不足の感が拭えない。コロナ禍は社会経済の幅広い分野で弱点も浮かび上がらせている。その克服に正面から向き合おうとする姿勢がみえない。

 骨太案は、感染防止の検査・医療体制を拡充しながら経済を戻す当面の対策と、中長期策の二段構えとした。その軸に据えたのが、先立って政府が成長戦略案にも掲げたデジタル化の加速だ。この1年で集中的に取り組むとした。

 コロナ対策で1人10万円給付の支給遅れが批判されたのを受け、行政手続きのオンライン化やマイナンバー制度の使い勝手の改善を進める。教育分野やテレワークなど働き方改革にも広げるという。

 人口密集のリスクも認識されつつあるとし、オンライン環境の整備で地方への移住や、大都市と地方をまたぐ「2地域居住・就労」を後押しする方針だ。

 デジタル化を進めて行政や経済活動の効率化を目指す方向性はもっともである。ただ、新たなビジネスや多様な働き方、住まい方を広げるには、事業や雇用、生活の基盤が脆弱(ぜいじゃく)ではおぼつかない。

 コロナ感染拡大に関わる解雇や雇い止めは3万人超に上る。派遣、契約社員ら非正規労働者が「雇用の調整弁」にされている例が目立つ。フリーランスら個人事業者の弱い立場も表面化した。

 仕事探しや生計の維持に追われる状況では移住どころでない。安定的な雇用とセーフティーネット(安全網)の拡充が欠かせない。

 輸入部材に依存した生産・調達の構造や、訪日客頼みの観光産業もどう立て直すか。骨太と銘打つなら、コロナ時代に持続可能な経済社会像を提示してこそだろう。

 看過できないのは、骨太案から財政健全化の目標達成がほぼ棚上げされたことだ。コロナ禍の苦境にある企業や家計への財政支援は必要だが、膨らむ借金財政に今後どう対処していくのか道筋を示すべきではないか。

 景気優先だと先送りを重ねた上、コロナ対策を口実に財政再建から目を背けるのは無責任だ。