水道用具メーカーが改修した京都市公衆トイレ「蛇口屋稼業 因 東司」(京都市東山区)

水道用具メーカーが改修した京都市公衆トイレ「蛇口屋稼業 因 東司」(京都市東山区)

京都市公衆トイレ「京都ココログループのトイレ」を清掃する社員たち(京都市左京区岡崎)=豊かな気持ち提供

京都市公衆トイレ「京都ココログループのトイレ」を清掃する社員たち(京都市左京区岡崎)=豊かな気持ち提供

 「汚い」「臭い」というマイナスイメージがもたれがちな公衆トイレ。京都市は汚名返上のため、ネーミングライツ(命名権)売却を進めている。企業名を冠したトイレを導入することで、企業側に改修や清掃活動を促し、美しいトイレで利用客をもてなすのが目的だ。ただ件数は伸び悩み、企業側にメリットを提供できるかが、成否の鍵を握りそうだ。

 清水寺に近い清水坂観光駐車場東公衆トイレ(東山区)。多くの観光客が利用する施設には「蛇口屋稼業 因(カクダイ) 東司(とうす)」の看板が掲げられている。命名権を取得した水道用具メーカー「カクダイ」(大阪市)が手洗い場を独自に改修し、落ち着いた色合いの雰囲気に変えた。同社広報課は「外国の観光客に当社のデザインを見てもらうきっかけになれば」という。

 トイレの命名権は2009年に東京都渋谷区などで取り組みがスタート。京都市内の観光地や繁華街の公衆トイレを管理する環境政策局は13年度から導入した。価格は年間10万円以上(期間3年以上)と、他施設の事例よりも安価で、財源確保が主な狙いではない。

 同局は計72カ所のトイレを1日1~3回清掃するが、それでも汚れることもある。企業側は命名権で宣伝になる一方、社名や商品名を広告するトイレの環境は、企業イメージに関わるため、維持管理に積極的に協力するようになる。結果として、快適なトイレにつながるというわけだ。

 写真スタジオ運営の京都ココログループ(東山区)が名付けた左京区岡崎の「京都ココログループのトイレ」では、社員が月2~4回清掃活動を行う。担当者は「トイレを美しく保てば観光満足度も向上し、社業にも良い影響がある。清掃は社員教育にもなっている」と手応えを語る。

 同局は、企業側の希望に基づき、地元合意を経て、命名権を売却するトイレを選定している。現在、蛸薬師新京極公衆トイレ(中京区)でも募集中だが、課題もある。

 市によると、これまで7カ所で企業名などのついたトイレが誕生したが、契約期間終了後、更新しないケースが相次ぎ、現在は「イワモトエンジニアリング嵐山レストルーム」(右京区)を含めて3カ所のみ。スポーツ施設や音楽ホールとは異なり、イベントが催されるわけではなく、宣伝効果が高いとはいえないためだ。市まち美化推進課は「企業側には社会貢献としてお願いしている。市も名称の周知に努めたい」としている。