彦根交番射殺事件の初公判で傍聴券を求めて並ぶ市民ら(30日午前8時47分、大津市・大津地裁)

彦根交番射殺事件の初公判で傍聴券を求めて並ぶ市民ら(30日午前8時47分、大津市・大津地裁)

 「間違いありません」。大津地裁で30日に開かれた滋賀県彦根市の交番で上司の警察官を射殺した事件の初公判。元巡査の男(20)は硬い表情で言葉は少なく、午前中は謝罪の言葉は出なかった。事件から9カ月、変転した動機はどこにあったのか。責任能力はどの程度認められるのか。拳銃を使った警察官による殺人という前代未聞の不祥事の全容解明を目指す裁判が始まった。

 午前10時すぎ、丸刈りで黒のスーツを着た元巡査は弁護人と並んで着席した。赤いニキビ痕があり、幼さが残る顔はこわばり、目線を下に向けたまま。裁判長から氏名や本籍地を聞かれると「間違いありません」と、小さくもはっきり答えた。現住所は「まだ滋賀県内に住んでおります」と言葉を濁した。

 検察側が、起訴状を読み上げると、まっすぐ検察官に視線を送った。表情は硬いままだが、何度も肩を上下させて大きく息をするなど落ち着かない様子を見せた。起訴状に間違いがないか問われると、「はい」と答えたが、他に付け加えたいことがないか聞かれると「私から申し上げることは以上です」と述べ、謝罪の言葉はなかった。

 その後、井本光(あきら)巡査部長を射殺した場面が説明されたり、弁護側が「激しい罪悪感から自殺願望を持っており、両親が支えている」と明かしたりした際も、元巡査は目線を下に落とし、表情は変化しなかった。

 法廷では、検察側の証拠として、犯行に使われた拳銃と実弾などがアクリルケースに入った状態で裁判員らに提示された。元巡査は、裁判長から「間近で見ますか」と問われたが、それを断った。

 初公判を傍聴しようと、午前8時半ごろから272人が同地裁に集まった。倍率は6・18倍だった。