京都出身の2人が固い握手を交わした。日本プロ野球選手会の炭谷銀仁朗会長と日本高野連の八田英二会長。中止になった高校野球地方大会の代替大会を支援しようと、選手会が1億円を高野連に贈った▼プロとアマのリーダーが笑顔で収まる写真に時代の流れを感じたファンもいたのでは。今では当たり前のツーショットだが、かつて両者の間には深い川が流れていた▼プロ球団が社会人選手を引き抜いた1961年の「柳川事件」が長い断絶の始まりだった。プロはアマに指導できず、母校での練習も許されない。ドラフト指名された高校生の会見で同席を拒む指導者もいた▼2000年ごろから雪解けムードが高まり、現在は日本学生野球憲章も改正され交流が進む。野球は人気を誇る一方、競技人口の減少や少子化など深刻な課題も抱える。対立より連携の時代だろう▼練習さえできなかった春を乗り越え、夏の高校野球がきょう11日に京都、18日に滋賀で開幕する。高校時代にボールを握らなかったプロ選手はいない。寄付に全選手が協力したのもうなずける▼野球を楽しむことにアマやプロの区分けは関係ない。甲子園大会もなく、少しだけ短い夏の記憶を仲間としっかり刻んでほしい。支援金は、1球に泣いて笑った先輩たちからのエールでもある。