彦根警官射殺事件の経過

彦根警官射殺事件の経過

 「厳しくも優しい上司」と「まじめで熱心な部下」-。大津地裁で30日に開かれた彦根市の交番で上司の警察官を射殺した事件の初公判では、元巡査と井本光(あきら)巡査部長=当時(41)、警部に昇任=と一緒に勤務した警察官が事件発生までの交番での様子を語り、2人を知る同僚の証言が明かされた。元巡査はなぜ事件を起こしたのか。発生から9カ月。真相解明が法廷で始まった。。

 「昼飯どうする? ファミマかセブン行こか」「…財布、交番に置いてきてしまいました」「貸したるわ」-。法廷に、パトカー内で会話する井本巡査部長と元巡査の録音が流れた。元巡査の声色はやや硬いが、よくある上司と部下の会話だった。

 この日、2人を知る警察官の供述から人柄や交番での人間関係が垣間見えた。

 交番で2人と一緒に勤務していた20代の男性警察官は、井本巡査部長について「書類指導は細かく厳しく、自分も内心びびっていた」と証言。元巡査のことは「パソコンが苦手だったが、元気であいさつがしっかりしていた」と語った。

 証言によると、事件の9日前、元巡査は書類作成を巡り、井本巡査部長から12~13回、訂正を求められた。修正は午前3時までかかり、元巡査はだんだん元気を失くしていったという。ただ、「理不尽な指導や暴言、暴力は一切なかった」と話した。

 他にも、複数の警察官の供述調書が証拠提出された。井本巡査部長について、親しかった警察官は「『(元巡査を)育ててやらなあかん。これからや』と話していた」。以前に部下だった若手警察官は「何度も怒られ萎縮したが、最後に『頑張ったな』と言われ、涙した。厳しさの中に優しさがあった」。

 井本巡査部長の前に元巡査を指導した上司は「質問することも多く、まじめで仕事を早く覚えようとする姿勢があった」。

 指導に熱心な上司と、明るく向上心を持っていた部下。なぜ、すれ違ったのか。弁護側によると、元巡査は現在、井本巡査部長が自分を育てようとしていたと理解し、謝罪の気持ちを抱いて苦しんでいるという。31日は元巡査が被告人質問に答える。