<マツタケを必死に探す土瓶蒸し>という川柳に、それあるある、と内心でうなずいた。小紙「京都文芸」欄に投稿された佳作。小さなマツタケでもありがたく、鼻をひくひくさせて香りをかぐ▼高値で庶民に縁遠くなったマツタケが世界の絶滅危惧種入りだ。先週、国際自然保護連合がレッドリスト最新版を公表した。リストの先輩にはニホンウナギや太平洋クロマグロが連なっており、日本の食文化には悲しい現実だ▼マツタケが生える松林面積は半世紀で3割以上も減った。日本では線虫による松枯れの進行、それに戦後の燃料革命で薪や炭が使われず雑木が繁殖したのが要因。戦前に1万トン超だった生産量は2年前に60トン台にまで落ち込んでいる▼当然、値段は高騰する。林野庁によると、1960年で1キロが610円だったが、近年は数万円もする。<駅弁も松茸(まつたけ)飯の京都かな>西堀貞子。庶民の手が届いた時代がうらやましい▼大学などで人工栽培の研究が進められているが、成功していない。マツタケはアカマツの根から栄養を取り、代わりに菌糸で根を守る―こうした自然共生の奥深さに、まだ人知は及ばないということだろうか▼あの香りを欧米人は苦手らしいと聞いて不思議に思う。マツタケ復活を願いつつ、土瓶蒸しに出合う日を待ちたい。